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PubMedID 21406564 Journal J Cell Sci, 2011 Apr 15;124(Pt 8);1214-23,
Title Calpain-6, a microtubule-stabilizing protein, regulates Rac1 activity and cell motility through interaction with GEF-H1.
Author Tonami K, Kurihara Y, ..., Sorimachi H, Kurihara H
東京都医学総合研究所、東京大学医学系研究科  反町研、栗原研    礪波一夫     2011/04/04

カルパイン6はGEF-H1を介して低分子量Gタンパク質Rac1の活性を制御する
4月に出版されますカルパイン6(CAPN6)に関する私たちの論文を紹介させて頂きます。

CAPN6は哺乳類カルパインの中で唯一、活性中心のCysが存在しない構造を持ち、「偽カルパイン」と考えられています。我々は培養細胞を用いた実験から、CAPN6が微小管の安定化とアクチンフィラメントの再構築に関与することを明らかとしてきました(Mol Cell Biol. 27, 2548-61)。

今回、我々はさらにCAPN6が微小管結合型グアニンヌクレオチド交換因子GEF-H1を介して微小管-アクチンの相互調節機構に関与する可能性を示唆しました。siRNAを用いてCapn6をノックダウン(KD)した細胞では微小管安定性の低下と共にGTP結合型(活性化型)Rac1の増加による葉状仮足の形成亢進が認められていました。我々は免疫沈降法によりCAPN6の相互作用分子としてGEF-H1を同定し、さらにGEF-H1をKDすることでCapn6-KD細胞におけるRac1の活性亢進がキャンセルされること。Capn6-KD細胞ではGEF-H1が微小管から解離し、アクチンフィラメント上でRac1と活性複合体を形成していることを認めました。CAPN6抑制による「微小管のDestabilization」および「GEF-H1の局在変化→Rac1の活性化→アクチン再構築」の流れは、CAPN6による新しい微小管-アクチン相互調節機構を提示し得るものと考えています。

今後CAPN6の発現が顕著な胎児筋形成における役割の解明と共に、活性中心欠失型カルパインの研究から、カルパイン分子のプロテアーゼ活性非依存性の機能の解明に繋げていければと考えています。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局