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PubMedID 21389113 Journal Mol Biol Cell, 2011 Mar 9; [Epub ahead of print]
Title Non-SCF type F-box protein Roy1/Ymr258c interacts with a Rab5-like GTPase Ypt52 and inhibits Ypt52 function.
Author Liu Y, Nakatsukasa K, ..., Mimura S, Kamura T
名古屋大学大学院理学研究科・生命理学専攻  嘉村巧研    中務邦雄     2011/04/11

Non-SCFタイプFボックスタンパク質の機能
 
最近我々の研究室から発表された論文を紹介させていただきます。

 複合型E3リガーゼであるSCF複合体は、Rbx1-Skp1-Cul1-Fボックスタンパク質からなる四者複合体である。Fボックスタンパク質はFボックスを介してSkp1と結合すると同時に、基質認識ドメインを介して分解基質と特異的に結合する。Fボックスタンパク質は多数存在し、基質認識の特異性を保証している。
 
 全てのFボックスタンパク質がSCF複合体を形成するわけではない。たとえば出芽酵母のRcy1は、N末端側のFボックスドメインを介してアダプタータンパク質Skp1と結合する。しかし、Rcy1と結合したSkp1はCullin(Cdc53)と結合しないため、Rcy1複合体にはRbx1およびE2酵素も含まれない。このようなFボックスタンパク質は特に「non-SCFタイプ」と呼ばれているが、その機能はほとんど明らかにされていない。
 
 最近我々は、non-SCFタイプのFボックスタンパク質Roy1(出芽酵母Ymr258c)が、Rabファミリーに属するYpt52(低分子GTPase)のGTP結合活性を阻害することによって、タンパク質の小胞輸送を負に制御していることを見出した。Roy1とYpt52の結合にはSkp1が必要であったことから、おそらくSkp1がRoy1の構造変化を誘起しているものと考えられる。また逆に、Roy1と結合したSkp1はcullinと結合できない。すなわち、Roy1-Skp1は相互に構造を規定して、基質を特異的に認識するとともに、cullinを排除することによって、ユニークな複合体を形成しているものと考えられる。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局