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PubMedID 21304510 Journal Nat Commun, 2011 Feb;181,
Title The Ufm1-activating enzyme Uba5 is indispensable for erythroid differentiation in mice.
Author Tatsumi K, Yamamoto-Mukai H, ..., Yamamoto M, Komatsu M
東京都医学総合研究所  蛋白質リサイクルPT 小松雅明研    小松雅明     2011/04/15

ユビキチン様修飾システム Ufm1システムは造血に必須である
最近報告致しました私共の論文を紹介致します。

タンパク質の翻訳後修飾は、限りのあるゲノム情報を標的タンパク質の機能変換を介して拡大するために設計された系です。ユビキチン様修飾因子は、標的タンパク質に共有結合することにより多数の細胞事象を調節しており、その機構はE1(活性化)、E2(結合)およびE3(連結)酵素からなるユビキチン化と同じような酵素カスケード反応によって制御されます。

私達は、新規ユビキチン様修飾因子としてUfm1(ubiquitin-fold modifier 1)、その活性化酵素Uba5、結合酵素Ufc1、連結酵素Ufl1、そして脱酵素UfSPsを同定、報告してきました。しかしながら、Ufm1修飾システムの生理機能は不明のままでした。

今回、ユビキチン様修飾因子Ufm1を特異的に活性化する酵素であるUba5が赤血球の分化に不可欠の役割を持つことを見出しました。Uba5を欠くマウスでは重度の貧血が見られ、胎生12.5日で死亡しました。Uba5はエリスロポエチン産生に関与しないが、その遺伝学的欠失は骨髄幹細胞から赤芽球系前駆細胞への分化を障害しました。Uba5欠失胎仔の血液前駆細胞にUba5を導入し発現させると、貧血が改善されて生存期間が延長し、Uba5が細胞自律的赤血球分化に重要であることが示されました。今回の結果は、ユビキチン様タンパク質修飾系の1つであるUfm1系が造血の調節にかかわっていることを強く示唆しています。

余談となりますが、
平成23年4月1日をもち、所属の臨床研が、神経研、精神研との統合に従い東京都医学総合研究所となりました(英語標記ですと「The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science」から「Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science]です。Theが無い!) 。臨床研(Rinshoken)の名前が無くなってとても寂しいですが、都医学研で新たな気持ちで頑張っていきます。
   
   本文引用



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