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PubMedID 21616915 Journal J Biochem, 2011 May 25; [Epub ahead of print]
Title Calpain-7 binds to CHMP1B at its second {alpha}-helical region and forms a ternary complex with IST1.
Author Maemoto Y, Osako Y, ..., Shibata H, Maki M
名古屋大学、生命農学研究科、分子細胞制御学研究分野  牧正敏研    前本佑樹     2011/05/31

Calpain-7はCHMP1B、IST1と三者複合体を形成する
我々の論文がacceptされましたので報告させていただきます。
ESCRT複合体はEGFRなどの細胞表面レセプター(積荷分子)の選別輸送や内部小胞形成に関与するタンパク質複合体で、近年では細胞質分裂の最終段階やウイルスの出芽への関与が報告されています。

システインプロテアーゼであるcalpain-7は2つのMITドメインを有しています。MITドメインはESCRT複合体のうちESCRT-IIIやその関連因子との結合ドメインであり、一般的にはMIM (MIT-interacting motif) を介してESCRT-III (CHMPs) と結合します。CHMP1BやIST1はESCRT-III関連因子でMIM領域を有しており、当研究室ではそれらがcalpain-7と結合することを既に報告していました。

本論文で明らかにしたことを簡単にまとめます。
? Calpain-7結合因子のCHMP1BがmGFP-calpain-7の自己消化を促進し、CHMP1B, IST1両者の過剰発現でさらなる自己消化促進が観察された。

? Calpain-7結合領域はCHMP1B中のMIM領域ではなく、別の領域(2番目のαヘリックス中)であることを明らかにした。

? 相互作用解析からcalpain-7とCHMP1、IST1 (ESCRT関連因子) の三者複合体モデルを提唱し、CHMP1Bのコンホメーション変化ついて言及した。

Calpain-7の活性も複合体形成により上昇している可能性が高く、生理的基質の探索にも以上の知見を応用したいと考えています。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局