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PubMedID 22055191 Journal Mol Cell, 2011 Nov 4;44(3);462-75,
Title Structural basis of atg8 activation by a homodimeric e1, atg7.
Author Noda NN, Satoo K, ..., Ohsumi Y, Inagaki F
公益財団法人微生物化学研究会微生物化学研究所  分子構造解析部    野田 展生     2011/11/11

Atg7とそのAtg8結合型の立体構造
最近発表されました私たちの論文を紹介させていただきます.
Atg7はAtg8とAtg12の両方を活性化するE1酵素で,E2であるAtg3およびAtg10へそれぞれ受け渡します.今回我々はAtg7のほぼ全長の結晶構造と,Atg7のC末端ドメインとAtg8およびATPとの三者複合体の結晶構造,そしてAtg7の最C末端のtail領域とAtg8との複合体のNMR構造を決定しました.Atg7はE1に保存されたアデニル化ドメイン以外,既知のE1とは顕著に異なる立体構造を持っており,その特徴的なN末端ドメインでAtg3を認識すること,最C末端のtail領域でAtg8を捉え(NMR構造),続いてアデニル化ドメインに渡す(結晶構造)という少なくとも二段階を経てAtg8を認識,活性化することがわかりました.さらに生化学的解析により,活性化されたAtg8は,チオエステル結合で結ばれたAtg7分子ではなく,ホモダイマーを形成しているもう一方のAtg7分子に結合したAtg3へと“trans”の機構で渡されることが示されました.
Mol Cellの同じ号に,Schulman博士らのグループがAtg7のN末端ドメインとAtg3由来ペプチドとの複合体およびAtg7のC末端ドメインの結晶構造を報告し,類似の手法で“trans”の受け渡しを示しています.またNat Struct Mol BiolにSong博士らのグループが,Atg7のC末端ドメインとAtg8との複合体および,N末端ドメイン単体の結晶構造を報告しています.三グループはどれも出芽酵母のAtg7を扱っていますが,すべて異なる結晶型の構造を報告しており,結晶化の奥深さを感じました.今後はAtg7がAtg8系とAtg12系をどのように見分けて働いているのか,複合体の構造解析を通して明らかにしていきたいと考えています.
   
   本文引用



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