PubMedID |
22157017 |
Journal |
J Biol Chem, 2011 Dec 7; [Epub ahead of print] |
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Title |
Mitophagy plays an essential role in reducing mitochondrial production of reactive oxygen species and mutation of mitochondrial DNA by maintaining mitochondrial quantity and quality in yeast. |
Author |
Kurihara Y, Kanki T, ..., Uchiumi T, Kang D |
九州大学病院・検査部(臨床検査医学講座) マイトファジー研究グループ 栗原悠介、 神吉智丈 2011/12/21
出芽酵母におけるマイトファジーの生理的意義
最近 私たちが発表しました論文を紹介します。
Parkin/PINK1の研究でも明らかにされてきたように、ヒトでのオートファジーによるミトコンドリアの選択的な分解(マイトファジー)は、ミトコンドリアの品質管理を行なっていると考えられています。一方、出芽酵母におけるマイトファジーは、その分子メカニズムは徐々に解明されてきましたが、生理的意義は殆ど明らかにされていませんでした。
今回私たちは、atg32ノックアウト株などのマイトファジー不能株では、長期の窒素飢餓時に本来分解されるべきミトコンドリアが細胞内に蓄積し活性酸素を余剰な活性酸素を産生するため細胞に酸化障害を与えていることを明らかにしました。この結果、ミトコンドリアDNAが損傷を受け、表現型としては発酵性培地でも発育が遅い、いわゆる”プチコロニー”が観察されるようになりました。こうしたことから、出芽酵母におけるマイトファジーの生理的意義の一つは、飢餓などのストレス時に、活性酸素の産生源であるミトコンドリアを分解し、活性酸素によるミトコンドリア傷害を抑制すること、即ちミトコンドリアの量の管理とそれに伴うミトコンドリアの品質維持であると考えられます。
類似の成果は、オートファジー全体に拡大した研究で既に東工大大隅研の鈴木さんらから報告されています。