PubMedID |
22275429 |
Journal |
J Cell Sci, 2012 Jan 24; [Epub ahead of print] |
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Title |
Structures containing Atg9A and the ULK1 complex independently target depolarized mitochondria at initial stages of Parkin-mediated mitophagy. |
Author |
Itakura E, Kishi-Itakura C, Koyama-Honda I, Mizushima N |
東京医科歯科大学 細胞生理学分野 水島昇研 板倉 英祐 2012/02/01
不良ミトコンドリア上でオートファゴソームが形成される
最近受理された私たちの論文を紹介させていただきます。
近年の研究から哺乳類ではParkin依存的にmitophagyが誘導されることが明らかとされました。不良ミトコンドリアは形成された隔離膜内へLC3によってリクルートされると考えられておりますが、mitophagosome形成の詳細なメカニズムについてはよくわかっておりません。そこで私たちは以前に報告した飢餓時のAtgタンパク質間の階層関係をもとにAtgタンパク質とmitophagosome形成の関係を調べました。
その結果、ULK1-FIP200複合体が他のAtgタンパク質非依存的に不良ミトコンドリアへリクルートされました。さらにAtg9A小胞もULK1複合体非依存的に不良ミトコンドリア周辺へ集まることがわかりました。このことは不良ミトコンドリアがオートファゴソーム形成サイトへリクルートされていることを示唆しました。
次にLC3と不良ミトコンドリアの関係を調べました。Atg3 KO 細胞(LC3-PE化が抑制された細胞)では、予想通り不良ミトコンドリアは隔離膜内に取り込まれておりませんでした。しかし興味深いことに不良ミトコンドリア近傍で隔離膜形成が起きていることがわかりました。
よってこれらのことから不良ミトコンドリアが2段階で認識されていると考えました。まず不良ミトコンドリアはULK1複合体とAtg9A小胞が存在するオートファゴソーム形成サイトへリクルートされます(もしくはULK1複合体とAtg9Aが不良ミトコンドリアにリクルートされる)(第1認識)。そしてその場からオートファゴソーム形成が開始されます。隔離膜はLC3依存的に不良ミトコンドリアを取り囲むように伸長します(第2認識)。
この2つの認識機構により選択的かつ効率的に不良ミトコンドリアをmitophagosome内へ取り囲むことができると考えられました。