PubMedID |
17136098 |
Journal |
Nature, 2007 Jan 18;445(7125);275-80, |
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Title |
Specialized hepatocyte-like cells regulate Drosophila lipid metabolism. |
Author |
Gutierrez E, Wiggins D, Fielding B, Gould AP |
東京医科歯科大学医歯学総合研究科 細胞生理学分野 水島研 原 太一 2007/03/30
ショウジョウバエの肝臓発見!!
ショウジョウバエ幼虫組織であるfat body (脂肪体)は脂質などの貯蔵庫として機能し、栄養飢餓やecdysonに依存してオートファジーが起こることが分かっていた。これまで、fat bodyが脊椎動物における肝臓様の組織であると考えられていたが、本論文においてエノサイト(扁桃細胞)が脂質代謝に関して哺乳類の肝臓が持つ機能の一部を担っていることが明らかにされた。絶食時にエノサイトに脂質滴の集積が認められること、エノサイトでの脂肪蓄積はfat body(脂肪体)によって制御されることが示された。逆に、脂肪体からの脂質放出にエノサイトが必要であることから、脂肪体とエノサイトは双方向的に作用しあっているようである。さらに、エノサイトでは、トリアシルグリセロールの組成を調節するCyp4g1をはじめとする脂質代謝関連タンパク質が特異的に発現していた。エノサイトにおける脂質代謝のメカニズムなどが今後の解明すべき課題である。今回、ヒトの肝臓に似た脂肪代謝機能をもつ細胞がショウジョウバエで発見されたことは、肝疾患や肥満疾患の研究にショウジョウバエを利用できる可能性を示した点でも意義深い発見であると考えられる。