PubMedID |
23452853 |
Journal |
Cell, 2013 Feb 28;152(5);1051-64, |
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Title |
Regulation of WASH-dependent actin polymerization and protein trafficking by ubiquitination. |
Author |
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東京大学大学院薬学系研究科 村田研究室 小泉峻 2013/04/26
ユビキチン化による逆行輸送の制御
エンドソームからの逆行輸送にK63ユビキチン鎖が必要であること示した論文です。
MAGE familyに属するタンパク質はRING型E3に結合し、そのリガーゼ活性を高めるとされていました。本研究では、そのMAGE familyに属するMAGE-L2とTRIM27から成るE3複合体が初期エンドソーム上に局在すること、その複合体がE2であるUbe2Oと協調して、初期エンドソーム上で逆行輸送に必要とされているWASHにK63ポリユビキチン鎖を付加すること、そしてこのK63ユビキチン鎖によるWASHの構造変化がエンドソームからの小胞の切り離しに必要なF-actinの集積に必要であることを示しています。以前からK63ユビキチン鎖の膜タンパク質の輸送への関与は指摘されていましたが、今回初めてK63ユビキチン鎖による逆行輸送の制御機構が明らかにされたことになります。
なお、本研究ではMAGE-L2がTRIM27の初期エンドソームへの局在に必要であることが示されていましたが、MAGE familyに属する他の分子がE3リガーゼ活性を亢進するメカニズムとしては、E3自体の構造変化を引き起こす、E3と基質の結合を助ける、E2のリクルートに寄与するなど諸説あり、MAGEはがん細胞に高発現であるという報告がされていることと併せて、今後の研究の進展が期待されます。