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PubMedID 23727017 Journal Mol Cell, 2013 May 29; [Epub ahead of print]
Title MITOL Regulates Endoplasmic Reticulum-Mitochondria Contacts via Mitofusin2.
Author
東京薬科大学 生命科学部  分子生化学研究室    柳 茂     2013/06/04

MITOLはMfn2を介してMAM形成を制御する
最近受理された私たちの論文を紹介させていただきます。

この論文では、ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLがミトコンドリア融合因子であるMitofusin2 (Mfn2)を活性化して小胞体とミトコンドリアの接着(MAM)形成を制御することを明らかにしています。

ミトコンドリアは、小胞体と近接することによってカルシウムの受け渡しや脂質代謝の効率性を高めて細胞機能を正常に維持しています。Mfn2は、ミトコンドリアと小胞体の両方に局在して、お互いに手を繋ぐことにより両オルガネラの接着を仲介していると考えられていますが、その活性制御機構は不明でした。私たちはMITOLがミトコンドリアに局在するMfn2の192番目のリジン残基を特異的にK63結合型ポリユビキチン化することにより、Mfn2のGTP結合能を上昇させてMfn2の重合化と複合体形成を誘導し、MAMを形成することを示しました。実際にMITOLの機能低下によってMfn2の活性化が抑制されるとMAM形成に異常が生じ、小胞体からミトコンドリアへのカルシウム流入が著しく減弱することが観察されています。

本研究成果は、Mfn2遺伝子の変異により発症することが知られている遺伝性末梢神経疾患シャルコー・マリー・トゥース病のみならず、アルツハイマー病などのさまざまな神経変性疾患の機序解明への糸口になることが期待されます。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局