PubMedID |
23791384 |
Journal |
Cell, 2013 Jun 19; [Epub ahead of print] |
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Title |
PolyQ Proteins Interfere with Nuclear Degradation of Cytosolic Proteins by Sequestering the Sis1p Chaperone. |
Author |
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東京大学大学院薬学系研究科 蛋白質代謝学教室 大手友貴 2013/07/01
polyQのHsp40による核輸送を介した細胞質ミスフォールドタンパク質除去阻害
polyQと細胞質ミスフォールドタンパク質除去の関係についての論文です。
ハンチントン病や脊髄小脳変性症に代表されるpolyQ病はタンパク質恒常性異常と関連する疾病として知られていました。この論文ではHsp40がHsp70と協調して細胞質ミスフォールドタンパク質を核へ運び分解へ導くことを示し、その過程でpolyQがHsp40を凝集体に巻き込むことでミスフォールドタンパク質分解が障害されるという説を立てています。筆者たちはまず酵母において細胞質ミスフォールドタンパク質のモデル基質を用いて、Hsp40(Sis1p)がミスフォールドタンパク質を核へ運び分解へ導くこと、異常な長さのpolyQがこのHsp40を不溶化させてミスフォールドタンパク質分解を障害することを示しています。 このときpolyQがプロテアソームそのものの活性およびユビキチン化の過程を阻害していないことも示しています。またHEK293細胞を用いてヒトのHSP40の一つであるDnaJB1が同様の細胞質ミスフォールドタンパク質の核内輸送を行うことを確認しています。
なお、先行研究では脊髄小脳症候群の患者のpolyQ凝集体にDnaJB1が共局在することが示されており、また哺乳類では多数のDnaJBタンパク質が見つかっていることなどから、HSP40が行うタンパク質品質管理の重要性や多様性が示唆され、今後の研究の進展が期待されます。