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PubMedID 23726910 Journal Biochem Biophys Res Commun, 2013 Jun 28;436(2);223-9,
Title The parallel reaction monitoring method contributes to a highly sensitive polyubiquitin chain quantification.
Author
東京都医学総合研究所  蛋白質代謝研究室    土屋光     2013/07/05

ユビキチンによるタンパク質の翻訳後修飾は、タンパク質分解のみならずシグナル伝達やタンパク質の輸送など広汎な生命機能を制御することが明確となってきた。ユビキチン修飾にはモノユビキチン化と8種類の異なる構造のポリユビキチン鎖 (異なるリジン残基を介して連結したK6鎖 K11鎖、K27鎖、K33鎖、K48鎖、K63鎖及び、N末端のメチオニンを介して連結したM1鎖)が存在し、それらが使い分けられることで標的タンパク質の運命が決定される。現在、これらポリユビキチン鎖を識別する手法として質量分析計がもっとも有効な手段として注目されているが、K29鎖やM1鎖などの微量なユビキチン鎖を細胞抽出液から直接定量することは依然として困難である。そこで今回、最新型の高分解能質量分析計を用いたターゲットプロテオミクスの新手法Parallel Reaction Monitoring(PRM)を用いることで複雑試料中からユビキチン鎖を絶対定量する方法を開発した。本手法を用いることにより、複雑試料中から全ての種類のユビキチン鎖を少なくとも100 amolから定量可能であることを明らかにした。また、本手法を用いてユビキチン依存タンパク質分解系のモデル基質UFD経路のUbiquitin-Pro-gal(Ub-P-gal)のユビキチン化を解析した。その結果、野生型において、Ub-P-galはK29鎖及びK48鎖が1:5の比で結合した混合型のユビキチン化修飾を受けることが明らかとなった。一方、UFD経路のユビキチンリガーゼUfd4破壊株においては、K29鎖が検出されなかった。よって、Ufd4はUFD基質にK29鎖を付加することが明確となった。以上より本手法は複雑なユビキチンシステムを解析するために有用な定量法であると考えられる。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局