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PubMedID 23417015 Journal EMBO J, 2013 Mar 20;32(6);805-15,
Title End-joining inhibition at telomeres requires the translocase and polySUMO-dependent ubiquitin ligase Uls1.
Author Lescasse R, Pobiega S, Callebaut I, Marcand S
東京大学大学院薬学系研究科  蛋白質代謝学教室    藤田太一     2013/07/05

Uls1によるテロメアのNHEJ阻害
テロメアでの非相同末端結合(NHEJ)を、Uls1が阻害することを示した論文です。
Uls1はE3 RINGドメインとSUMO-interacting motifを持つことから、SUMO化された基質をユビキチン化するSTUbLsとしての機能を持つことが期待されています。

テロメアには、末端同士の結合を阻害する機構が存在することが知られていました。また、Rap1がテロメアDNAに直接結合し、Sir2/3/4やRif1/2複合体をリクルートすることや、Rap1がNHEJを阻害することも知られていましたが、それらの関係性は不明です。本研究では、Rap1とのgenetic interactionが示唆されたことからUls1に着目し、Uls1とNHEJの関係を調べています。また、Uls1のSTUbLsとしての働きに期待して、poly-SUMO化との関係も調べています。
筆者らは、NHEJの阻害にUls1のRINGドメインとtranslocaseドメインが関わっていることや、Uls1を欠損させたNHEJの条件下で、Rap1のSUMO化サイトに変異を入れることでNHEJが阻害されることを発見しました。このことからUls1が阻害するNHEJの経路にRap1のSUMO化が関係していることが示唆されます。さらに、Uls1の存在下でpoly-SUMO化したRap1が減っていることから、Rap1がpoly-SUMO化されることで、本来持っていた何らかの機能を失い、その結果、テロメアのNHEJにつながる可能性を初めて提唱しました。また、Rif2を経由するNHEJ阻害の経路はRap1のpoly-SUMO化と関係する一方で、Sir4を経由する経路はRap1のPoly-SUMO化とは独立であることも実験結果から予想され、NHEJには様々な機構の経路があることも示唆しています。

NHEJにおけるUls1のtranslocaseドメインの役割や、Rap1のpoly-SUMO化によるRap1の活性の変化、生理的意義などはまだ分かっていませんが、STUbLsを介したpoly-SUMO化タンパク質の分解が、NHEJ阻害の重要な役割を担っている可能性が示唆されます。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局