PubMedID |
17016471 |
Journal |
EMBO J, 2006 Oct 4;25(19);4547-56, |
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Title |
Repression of ergosterol level during oxidative stress by fission yeast F-box protein Pof14 independently of SCF. |
Author |
Tafforeau L, Le Blastier S, ..., Vandenhaute J, Hermand D |
京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻、制御発酵学 阪井康能研 村上大 2007/05/01
近年になってH2O2での処理によりH2O2の膜透過性が下がることがわかってきたが、本論文は、Schizosacharromyces pombeではH2O2により膜の構成成分が変化することを分子レベルで初めて示した論文である。SCFユビキチンリガーゼの中心的構成要素であるSkp1と相互作用を示したPof14はF-boxタンパク質であり、SCF依存的に発現量を自己制御している。Pof14の転写はストレス応答性の転写因子Pap1により制御されており、H2O2により転写量が増加する。Pof14はErg9とも相互作用を示し、Erg9のスクアレン合成活性を抑制することでエルゴステロール合成を抑制する。H2O2によりPof14の転写量が上昇してSCFによる分解が飽和し、Pof14の発現量が増加する。Pof14の発現量増加による一時的なエルゴステロール合成抑制は、H2O2への適応に必要である。
以前の研究から、タンパク質合成阻害剤によりH2O2に対する耐性が上昇することがわかっていたが、この原因はタンパク質合成阻害によりエルゴステロール合成阻害が起こるせいであると説明できる。また、エルゴステロール合成ができない株ではH2O2に対する感受性が上がることも知られているが、本論文ではH2O2への適応にエルゴステロール合成抑制が必要であることを示している。これは矛盾しているような現象であり、これを説明できるデータはまだなく、さらなる研究が必要である。