PubMedID |
23744068 |
Journal |
J Biol Chem, 2013 Jul 19;288(29);21074-81, |
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Title |
Differential Contribution of Insulin and Amino Acids to the mTORC1-Autophagy Pathway in the Liver and Muscle. |
Author |
Naito T, Kuma A, Mizushima N |
東京大学 医学系研究科 分子生物学(水島研究室) 内藤 貴子 2013/09/07
個体のmTORC1-オートファジー経路に対するインスリンとアミノ酸の寄与
7月に掲載された論文ですが、少しだけ紹介させていただきます。
オートファジーの活性は栄養状態によって調節されています。培養細胞では、インスリンなどの増殖因子とアミノ酸がmTORC1を活性化しオートファジーを抑制しますが、個体レベルの詳細なメカニズムは明らかにされていません。そこで、マウス頸静脈に留置したカテーテルからインスリン(グルコースクランプ法)もしくはアミノ酸を投与し、インスリン単独及びアミノ酸単独でのオートファジー抑制効果を調べました。
その結果、骨格筋では、インスリン投与により摂食時と同様にオートファジーが抑制され、一方肝臓では、アミノ酸投与によりオートファジーが抑制されました。肝臓ではインスリン単独ではmTORC1が活性されず、オートファジーは抑制されませんでした。これらのことから、生体のmTORC1−オートファジー経路は組織ごとに異なったメカニズムで調節されることが示されました。
食後、肝臓内のアミノ酸濃度は末梢組織に比して大きく上昇するため、肝臓がアミノ酸をセンスするのは理にかなっていると言えます。今後は、組織間でシグナルの伝わり方が異なる理由を明らかにしたいと考えています。