PubMedID |
23991809 |
Journal |
J Proteome Res, 2013 Sep 20; [Epub ahead of print] |
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Title |
Proteomics Analysis Reveals a Highly Heterogeneous Proteasome Composition and the Post-translational Regulation of Peptidase Activity under Pathogen Signaling in Plants. |
Author |
Sun HH, Fukao Y, ..., Sato T, Yamaguchi J |
北海道大学大学院理学研究院 形態機能学講座 佐藤 長緒 2013/10/01
植物プロテアソームの複雑なサブユニット構成と機能変換
植物プロテアソームの機能制御に関する解析結果を発表したので紹介させて頂きます。
私たち人間と同じように,植物もまた病原体の攻撃や多様な環境ストレスに対する優れた適応機構を備えています。そして,そうした環境ストレス応答において,ユビキチン・プロテアソームシステムによるタンパク質分解が重要な機能を果たすことが知られています。面白いことに,高等植物ではプロテアソームを構成するサブユニットをコードする遺伝子に多くの重複が見られ,酵母やヒトに比べて複雑なサブユニット構成をもつこと,そして何らかの特別な機能制御機構が存在する可能性が示唆されていました。
私たちは,これまで困難であった植物プロテアソームのアフィニティー精製およびプロテオミクス解析から,詳細なサブユニット構成の実態を明らかにすることに成功しました。さらに,病原体感染のシグナル物質となる鞭毛由来ペプチドFlg22を処理した植物から精製したプロテアソームでは,通常型に比べてサブユニット構成が変化し,プロテアソームのペプチダーゼ活性が上昇していることが分かりました。これらの結果は,植物の病原体応答では,何らかの翻訳後制御により植物のプロテアソーム機能変換が起こっていることを示唆しています。
哺乳類では特異的なサブユニット構成をもつ‘Immunoproteasome’や‘Thymoproteasome’が免疫応答において重要であることが知られていますが,植物でもサブユニット構成変換によるプロテアソーム機能制御機構が防御応答に貢献している可能性が示されました。