PubMedID | 24324262 | Journal | J Biol Chem, 2013 Dec 9; [Epub ahead of print] | |
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Title | Ubiquitin-interacting motifs confer full catalytic activity, but not ubiquitin chain substrate specificity, to deubiquitinating enzyme USP37. | |||
Author | Tanno H, Shigematsu T, ..., Tanaka T, Komada M |
学部4年生の西川です。私の研究室で、脱ユビキチン化酵素USP37におけるユビキチン結合モチーフUIMの役割について研究成果を発表いたしましたので、紹介させていただきます。
Ubiquitin-Specific Protease (USP) は最大の脱ユビキチン化酵素ファミリーであり、Cys-boxとHis-boxからなる保存された触媒ドメインをもちます。その1つであるUSP37はCys-boxとHis-boxの間に3つのユビキチン結合配列ubiquitin-interacting motif (UIM)をもちます。USP酵素の中でUIMをもつのはUSP37を含め3つしか存在しないため、その役割に興味をもち解析を行いました。
3つあるUIMのうちC末端側の2つのUIM (UIM2, 3)のいずれか一方に変異を入れると、細胞内のユビキチン化タンパク質およびポリユビキチン鎖に対する結合が大幅に低下しました。Lys48、Lys63鎖に対する結合親和性に大きな違いは見られませんでした。USP37の酵素活性にUIMが関与するか調べたところ、UIM2かUIM3に変異を入れるとLys48鎖、Lys63鎖いずれに対してもユビキチン鎖切断活性の減少が見られました。以上の結果から、UIM2とUIM3がUSP37とユビキチン鎖との結合およびその最大の酵素活性の発現に必要であると明らかになり、UIMが触媒ドメインの近傍にユビキチン鎖基質を配置することによりUSP37の酵素活性を高めていることが示唆されました。一方で、USP37のユビキチン鎖切断特異性(Lys63鎖よりLys48鎖をよく切る)はUIMの変異によって変化せず、UIMは基質特異性には関与しないと考えられました。
本研究で導かれた機能仮説を実証するには、USP37とユビキチン鎖の複合体の構造解析が必要と考えています。また、USP37のin vivo基質であるCyclin Aの脱ユビキチン化、および細胞周期の制御にUIMが重要かどうかを調べていかなければならないと考えています。