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PubMedID 17121849 Journal J Biol Chem, 2007 Jan 26;282(4);2567-75,
Title Calpain is required for the rapid, calcium-dependent repair of wounded plasma membrane.
Author Mellgren RL, Zhang W, Miyake K, McNeil PL
東京都臨床医学総合研究所  カルパインPT    反町 洋之     2007/06/01

カルパインと膜remodeling
 少し前の、それも一見地味な論文なのですが、重要な論文だと思いますので、紹介いたします。
 細胞膜が破損したときに、細胞はこれを速やかに(秒単位で)修復しますが、この時に細胞外のCa2+が必要であることは古くから知られていました。本論文では、conventional calpains(μ-及びm-カルパイン)の制御サブユニット(30K)の遺伝子(Capns1)のノックアウトマウスからの線維芽細胞を用いて、膜修復にカルパインが重要であることを示しています。Capns1遺伝子が破壊されて30Kが発現されないと、μ-及びm-カルパインの両方がタンパク質レベルで検出感度以下の量に減少し、結果としてE13までに胚性致死となることが知られています。Capns1-/-の線維芽細胞では、野生型のものに比べ、膜損傷後の外液Ca2+-依存的な修復速度と生存率が有意に減少することが示されています。その時、外液に精製したμ-あるいはm-カルパインを入れておくとこれがキャンセルされます。損傷部位でカルパインの活性化と細胞骨格系蛋白質の切断が見られており、カルパイン阻害剤は、野生型細胞においてCapns1-/-細胞と同様の効果を示します。
 残念ながら、詳細な分子機構までは解明できていませんが、線虫において、カルパイン遺伝子とカテプシン遺伝子とがnecroticな神経細胞死の状況で遺伝学的に上下の関係にあること(Nature(2002)419:939-44; JCB(2006)173:231-9)や、同様の方法で示されたオートファジーへのカルパインの必要性(ここでも紹介されています; JCB(2006)175:595-605)も考え合わせると、カルパインがかなり直接に近い形で膜に作用していることが想像されます。おそらくは何らかの膜蛋白質を介したものだとは思いますが、今までの固定観念に捕らわれないで今後解析していくことが重要だと思いました。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局