PubMedID |
24591649 |
Journal |
Mol Cell Biol, 2014 Mar 3; [Epub ahead of print] |
|
Title |
A cluster of thin tubular structures mediates transformation of the ER to autophagic isolation membrane. |
Author |
Uemura T, Yamamoto M, ..., Komatsu M, Waguri S |
福島県立医科大学 医学部 解剖・組織学講座 和栗 聡 2014/04/03
オートファジー隔離膜形成に関わる新たな膜構造体
先月発表した私達の論文を紹介します。オートファジー隔離膜の形成過程に関わる新規膜構造体(IMAT: isolation membrane associated tubuleと命名しました)を発見したという論文です。細胞にGFP-DFCP1を導入してアミノ酸飢餓状態にすると、オメガソームリングや隔離膜の動きをライブで観察できますが、ちょうどリングが閉じる部分を電顕で見ると、そこは隔離膜(あるいはphagophore)の閉じる部分に一致し、しかもこれまで観察されなかった多数の極細(約30 nm径)小管クラスター、IMATが存在していて、これらが小胞体と隔離膜に連結していました。このIMATは隔離膜と共に、Atg3,5,7,16L欠損線維芽細胞において誘導され、FIP200欠損細胞では検出できないことから、隔離膜形成の初期段階に関与すると考えています。これまでも小胞体と隔離膜を繋ぐ小管の存在は報告されていましたが(Hayashi-Nishino et al., Nat. Cell Biol., 2009; Yla-Anttila et al, Autophagy, 2009)、実際はクラスターを形成するほどたくさん存在していて、これがオメガソームの一部を成すことが示されました。発見の契機は、四酸化オスミウムを初期固定法に用いたことですが、これは電顕法黎明期に少し使われていた方法です。化学固定によるアーティファクトの可能性を完全に除外できていませんが、関連分子機構を構想する際の参考になればと思っています。それから組織細胞学では良くあることですが、オメガソーム(光顕レベルの名称)に加えてIMAT(電顕レベルの名称)を使用するのは紛らわしいと指摘されていますので混同しないよう願います