PubMedID |
17428789 |
Journal |
J Biol Chem, 2007 Jun 8;282(23);16736-43, |
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Title |
Phosphatidylethanolamine, a limiting factor of autophagy in yeast strains bearing a defect in the carboxypeptidase y pathway of vacuolar targeting. |
Author |
Nebauer R, Rosenberger S, Daum G |
基生研・分子細胞生物学研究部門 大隅良典研 鈴木邦律 2007/06/13
Phosphatidylethanolamine量とオートファジー能
VPS4とVPS36の変異株ではcarboxypeptidase Yの輸送に欠損があるのは周知の事実である.今回の論文では,それらの変異株ではオートファゴソームやCvt小胞のcargoであるaminopeptidase 1(Ape1)の液胞輸送にも欠損があることを明らかにした.これらの変異株をethanolamine添加培地で培養すると細胞内のphosphatidylethanolamine(PtdEtn)量が増加し,Ape1の輸送能だけでなく,バルクなオートファジー欠損の表現型も回復する.PSD1とPSD2を破壊し,細胞内のPtdEtn量を低下させるとApe1の輸送とバルクなオートファジー共に支障を来す.この変異株ではAtg8のpre-autophagosomal structure(PAS)への集結が悪い.先ほどと同様にethanolamineを補った培地ではこれらの表現型は回復する.
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表現型としてはきれいですが,もう一つ踏み込んでもらいたかった論文です.vps変異株では細胞内PtdEtn量は野生株とほぼ同レベルであるにも関わらずオートファジーの活性は低い.psd変異株はPtdEtn量が低下しているために(恐らく)Atg8-PEの生成量が低下し,Atg8のPAS局在量が減少,その結果オートファジー能が低下していると思われます.
この流れだとAtg8-PEの生成量を確認すべきでしょうが,特に記述はありません.vps変異株とpsd変異株はどちらもethanolamine要求性で,オートファジー能が低下しており,ethanolamine添加によりオートファジー能を回復します.しかし,オートファジー能が低下している原因はいくつも考えられますので,メカニズムに関する議論を深める意味でもAtg8-PEの生成量を確認すべきだったでしょう.また,CPYの輸送能がethanolamine添加により変化するかどうかもそれぞれの変異株で確認すべきだったでしょう.