PubMedID |
25551774 |
Journal |
Autophagy, 2014 Dec 31; [Epub ahead of print] |
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Title |
Loss of functional MYO1C/myosin 1c, a motor protein involved in lipid raft trafficking, disrupts autophagosome-lysosome fusion. |
Author |
Brandstaetter H, Kishi-Itakura C, ..., Manstein DJ, Buss F |
CIMR University of Cambridge Folma buss lab 岸 千絵子 2015/01/03
Myosin1cによるコレステロール輸送がautophagyに関わる
2年前に(現東京大学)水島昇研究室から渡英し、University of CambridgeのFolma Bussラボにて、電顕屋として最初のお仕事が論文になりましたのでご紹介させていただきます。
Folmaラボは、古くからMyosinの研究をしております。Myosinと言っても、筋肉のMyosin2ではありません。HumanではMyosin1 – 19が現在知られて、ダイニン、キネシンよりも短距離の物の輸送に関わったり、膜のpullingに関わったり、actin organizationに関わったり、最近では、細胞質の流動を作るのに必要と考えられています。さらにMyosin1はSubclass 1 – 4にクラス分けされてます。以前に当ラボからMyosin6がオートファジーに関わることを発見しました (NCB 2012)。本論文で扱うMyosin1cは小さなmonomericな分子であり、また脂質に結合するドメインをもっております。
Myosin1cはplasma membrane直下のactin richな部分に多く局在しています。以前、我々はMyosin1cがlipid raftと関わりがあり、Myosin1c欠損細胞では、細胞膜とリサイクリングエンドソーム間のコレステロール輸送に異常をきたし、Lipid raftタンパク質がリサイクリングエンドソームに蓄積することを報告しました。
さて、この論文ではMyosin1c欠損細胞ではオートファジーが抑制されていることを発見しました。細胞内にLC3-IIが蓄積、LC3ドットが飢餓無しのbasal conditionででもみられました。それらを電子顕微鏡解析すると、autohagosomeさらにamphisomeの蓄積がみられました。当初はリソソームの機能阻害を介した、二次的なオートファジー抑制だと考えられました。しかしLamp1陽性エンドソームは肥大しているものの、エンドソームの分解活性やpHに異常がありません。Myosin1c欠損の二次的な影響を完全に排除できてはおりませんが、これらの結果は、Myosin1cが欠損すると、細胞膜とエンドソーム間の脂質輸送が異常をきたし、おそらくリソソーム膜の流動性が変化し、オートファゴソームとの融合能を失うことを示唆しております。
個人的な感想としては、以前水島研の時にオートファゴソームSNAREであるStx17を阻害した細胞では内容物の分解されていないオートファゴソームが蓄積することを観察したのに対して、Myosin1c欠損ではオートファゴソームとエンドソームが融合したamphisomeは形成されるが、autolysosome形成が阻害されたことから、おそらくamphisomeとautolysosomeの融合メカニズムが異なることが考えられたことが大変面白かったです。今後、それぞれのメカニズムの違いや、amphisome形成の役割などが明らかになることを期待しております。