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PubMedID 25645919 Journal J Biol Chem, 2015 Feb 2; [Epub ahead of print]
Title Visualization of Atg3 during Autophagosome Formation in Saccharomyces cerevisiae.
Author Ngu MP, Hirata E, Suzuki K
東京大学大学院新領域創成科学研究科  生命応答システム(鈴木邦律研究室)    鈴木 邦律     2015/02/23

出芽酵母Atg3の可視化
 我々はこれまでGFPを用いて出芽酵母におけるAtgタンパク質の局在を可視化してきました。ほとんどのAtgタンパク質はN末端もしくはC末端にGFPを融合するだけで活性を持つ融合タンパク質として可視化することができましたが、まだいくつかのAtgタンパク質が可視化されないまま残っていました。
Atg8脂質化反応のE2様酵素であるAtg3もそのようなタンパク質でした。我々はC末端とN末端のどちらにGFPを融合してもAtg3としての活性が失われることを確認しました。そこで、出芽酵母のAtg3の結晶構造(Yamada et al., J. Biol. Chem., 2007)を参考にして、出芽酵母Atg3に特徴的なHandle Region直後の領域にGFPを挿入することで、活性を保持したAtg3-GFPが得られることを見いだしました。
 Atg3-GFPはrapamycinを添加するとPASに局在するようになりました。また、Ape1過剰発現により隔離膜を可視化すると、Atg3-GFPは隔離膜全体を標識しました。これらの結果から、Atg3は隔離膜上で何らかの機能を果たしていると考えられます。また、YPT7遺伝子を破壊し、細胞内にオートファゴソームが蓄積する条件でAtg3-GFPの局在を観察すると、RFP-Ape1で標識されるオートファゴソームとはほとんど共局在しませんでした。Atg3は隔離膜に局在するものの完成したオートファゴソームには局在しないと考えられます。
 こうしたAtg3の挙動はAtg8脂質化反応のE3様酵素複合体を構成するAtg5やAtg16の振る舞いとよく似ています。Atg3はAtg16複合体と協調して、隔離膜上でAtg8脂質化反応を行っているのかもしれません。
   
   本文引用



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