PubMedID |
17386266 |
Journal |
Mol Cell, 2007 Mar 23;25(6);903-15, |
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Title |
PRAS40 is an insulin-regulated inhibitor of the mTORC1 protein kinase. |
Author |
Sancak Y, Thoreen CC, ..., Carr SA, Sabatini DM |
東京医科歯科大学医歯学総合研究科 細胞生理学分野(水島研) 細川 奈生 2007/06/14
mTORC1の活性阻害因子、PRAS40再び
オートファジーの制御因子でもあるmTORは2種類の複合体mTORC1、mTORC2を構成する。mTORC1はmTOR、raptor、mLST8からなる複合体で、ラパマイシンに感受性を示す。mTOR研究はmTORC1の機能解析を中心に進んでおり、オートファジーの制御に関与するのもmTORC1である。PRAS40のmTOR阻害効果はHarrらが既に報告している(Nat Cell Biol, 2007 Mar;9(3);316-23 ←壁谷さんレビュー、水島先生コメント参照)が、今回のSabatiniグループはmTORC1のキナーゼ活性をin vitroで徹底的に調べており、極めて精度の高い論文を書き上げている。
内容は先に示したコメントを参照していただくとして、本論文の感想を少し。
本論文は、すべての実験に的確なコントロールをおき、さらに複数の細胞株で行うことで個々のデータを確実に議論できる精度に高めている。そして全般にわたり実験結果が極めて美しい。議論の飛躍もなく、Figの多さとは裏腹に実に読みやすい論文である。このような美しい論文を書くことができるよう、日々の実験で確実にコントロールを置き、必要な実験材料を構築していきたい。学生の論文紹介にはお勧めの論文です。