PubMedID |
26644405 |
Journal |
Mol Cell Biol, 2015 Dec 7; [Epub ahead of print] |
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Title |
Atg13 is essential for autophagy and cardiac development in mice. |
Author |
Kaizuka T, Mizushima N |
東京大学 大学院医学系研究科 分子生物学分野(水島研究室) 貝塚 剛志 2015/12/12
Atg13は胎児期の心臓の発達に重要
最近発表された私たちの論文をご報告いたします。
これまでに報告されている大部分のAtg遺伝子のノックアウトマウスは出生の直後に致死となることがわかっています。このことから、オートファジーは(着床後の)胚発生には不要と考えられています。本研究において、私たちはAtg13ノックアウトマウスの作製および解析を行い、Atg13が胎児期の心臓の発達に必要であることを明らかにしました。
Atg13ノックアウトマウスは他の多くのAtg遺伝子(Atg3, Atg5, Atg7, Atg12, Atg16L1, ULK1/2)のノックアウトマウスと異なり、出生の前に死亡していました。発生途中の胎児の組織学的解析を行ったところ、Atg13ノックアウトマウスの胎児では心室の壁が顕著に薄くなっており、心筋の緻密層の発達に異常を来していると考えられました。
また、Atg13ノックアウトMEF(線維芽細胞)ではFIP200 ノックアウトMEFと同様、TNF-αによるアポトーシスが亢進していました。これはTNF-αによるカスパーゼ8の活性化の亢進によるものであると考えられました。
Atg13のノックアウトマウスおよびMEFの表現型は、過去に報告されているFIP200ノックアウトマウス・MEFのそれと一致する点が多かったことから、Atg13-FIP200複合体の機能を反映していると思われます。単純に考えると、Atg13-FIP200複合体がオートファジー以外の機能を持っており、この「非オートファジー機能」が心臓の発生に必要ということになります。しかしながら、Atg13-FIP200とconjugation系のAtgおよびULK1/2ではオートファジーにおける必要度が異なるためにノックアウトマウスの表現型に差異が生じているという可能性も否定できません。つまり「実はオートファジーは心臓の発生に必須である」という可能性もあるのではないかと考えております。