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PubMedID 26687600 Journal Mol Cell, 2015 Dec 17;60(6);914-29,
Title Structural Basis of the Differential Function of the Two C.?elegans Atg8 Homologs, LGG-1 and LGG-2, in Autophagy.
Author Wu F, Watanabe Y, ..., Noda NN, Zhang H
微生物化学研究会・微生物化学研究所  分子構造解析部    野田 展生     2015/12/23

線虫LGG-1,2の構造・機能相違
私たちが中国科学院・張宏教授のグループと共同で最近発表しました論文について紹介させていただきます。
酵母にはAtg8の遺伝子は1つしか存在しませんが、哺乳類では7種類存在し、それらは大きくGABARAPファミリーとLC3ファミリーに分けられます。線虫ではAtg8ホモログは2つ存在し(LGG-1, LGG-2)、それぞれGABARAPファミリー、LC3ファミリーに類似していることから、これら2つのファミリーの機能相違を調べるのに適しています。LGG-1およびLGG-2について、複数種の結合ペプチドとの複合体として結晶構造を決定し、これまでに報告されたAtg8ファミリーの構造と詳細な比較を行った結果、以下の構造相違がわかりました。

1) N末端領域の構造が、LGG-1およびGABARAPファミリーはClose型を、LGG-2、LC3ファミリーおよび酵母Atg8はOpen型を取る。
2) Atg8/LC3結合モチーフ(AIM/LIR)の結合部位周辺残基の保存性がLGG-1/GABARAP/Atg8の間では高い一方、LGG-2/LC3では低い。

In vitroの解析の結果、Close型を取るLGG-1はリポソームの凝集および融合活性を示す一方、Open型を取るLGG-2は凝集活性しか示さないことがわかりました。また種々のペプチドとの親和性をITCで調べた結果、総じてLGG-1の方がLGG-2より高い親和性を示すこと、配列の好みに違いがあることがわかりました。線虫を用いた解析の結果、これら2つのAtg8ホモログは異なる基質特異性を示し、また凝集体の選択的オートファジーにおいて異なる役割を担うことも明らかとなりました。
今回の論文では、Close型、Open型という構造の違いがどのようなメカニズムで機能の違いに結びつくのか、明確にできていません。またin vitroで見られたリポソームの凝集・融合能もオートファジーに対し具体的にどのような役割を持つのか不明です。高等生物のAtg8には大きく分けて二種類の構造型があるという知見を、今後のAtg8ファミリーの分子機能解明に向けた基盤として活用できればと思います。また酵母Atg8の構造がN末端はLGG-2/LC3と、AIM/LIR結合部位はLGG-1/GABARAPと類似していたという今回の知見は、Atg8ファミリーの進化を考える上で興味深いと思います。
   
   本文引用



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