PubMedID |
27833121 |
Journal |
Nat Rev Drug Discov, 2016 Nov 11; [Epub ahead of print] |
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Title |
Calpain research for drug discovery: challenges and potential. |
Author |
Ono Y, Saido TC, Sorimachi H |
公益財団法人東京都医学総合研究所・生体分子先端研究分野 カルパインプロジェクト 反町洋之 2016/11/15
どっこい生きてるカルパイン
UPSに続き大隅良典先生のノーベル賞、誠におめでとうございます。今日のプロテアーゼ研究の大盛況は、黎明期を支えてこられた故鈴木紘一先生も天国で大喜びのことと思います。
さて総説ですが、久しぶりにカルパインです。
いまいち機能が不明確という印象が払拭されず、日本では専従的な研究者が少なくなっていました。しかし、このファジーな感じが「疾患」とは相性が良く(?)、そのため、阻害剤開発が盛んです。今年はアルツハイマー病の治験にカルパイン阻害剤ABT-957が用いられました。
カルパイン関連疾患は、3つに大別できます。
(1)全身に発現し量も多い「標準型」カルパインの活性不全:神経変性疾患、虚血性疾患、筋・心臓疾患、がん、眼疾患、早老症、などに関与
(2)カルパイン遺伝子変異:筋ジストロフィー、食道炎、魚鱗症など「カルパイノパチー」を発症
(3)感染性疾患(マラリアなどの「顧みられない熱帯病、カンジダ症、白癬や歯周病など):病原生物のカルパインは病態や病原体の生存に関与
本総説では、阻害剤開発のいばらの歴史から近年の発展まで、具体例と共に紹介し、今後の方向性と可能性について考察しました。
カルパインは様々な局面で登場しますので、皆さんのご研究で遭遇された時は、是非ともお手伝いさせて頂ければと思います。
生化学12月号には、英語では書けなかった裏話などを含めた総説を掲載して頂く予定ですので、そちらもご参照頂けますと幸いです。