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PubMedID 29113029 Journal FEBS Lett, 2017 Nov 07; [Epub ahead of print]
Title Differential requirement for ATG2A domains for localization to autophagic membranes and lipid droplets.
Author Tamura N, Nishimura T, ..., Yamamoto H, Mizushima N
東大医  水島研究室    田村律人     2017/11/14

ATG2Aは異なる領域を介してオートファジー関連膜及び脂肪滴に局在する
先日発表いたしました私たちの研究結果をご紹介します。
ATG2はオートファジーに必須であり、隔離膜に局在します。しかしながらオートファゴソーム形成におけるATG2の詳細な分子機能は明らかにされていません。本研究では私たちはATG2A/Bダブルノックアウト細胞を樹立し、領域欠損変異体を用いてATG2Aの機能及び局在に関与する領域を探索しました。樹立したATG2A/Bダブルノックアウト細胞ではほぼ全てのATGタンパク質の集積が観察されます。電子顕微鏡観察の結果、選択的分解基質やLC3陽性の小胞の集積が観察される一方で、隔離膜様の構造体は観察されませんでした。従って、ATG2は隔離膜の伸長に機能すると考えられます。
これまでに私たちはATG2Aが隔離膜だけでなく、脂肪滴にも局在することを報告していました。またATG2Aの隔離膜および脂肪滴局在に必須な領域を同定していました。今回この領域中に両親媒性へリックスが含まれ、隔離膜および脂肪滴への局在に必要なことを示しました。この領域に加え、ATG2AのN末端領域, C末端領域は進化的に高度に保存されおり、VPS13ファミリーと高い相同性を示します。VPS13はオルガネラコンタクトサイトに局在し、オルガネラのリン脂質量の維持に関与することが示唆されています。しかしながら、これらの領域がATG2Aの機能および局在に関与するかどうかは不明でした。レスキュー実験の結果、N末端領域欠損変異体はオートファジー活性を相補しなかったのに対し、C末端領域欠損変異体はオートファジー活性を相補しました。さらにN末端領域欠損変異体は脂肪滴にのみ局在し、C末端領域欠損変異体は隔離膜にのみ局在しました。これらの結果から、N末端領域は隔離膜局在に必要であり、C末端領域は脂肪滴局在に関与することが分かりました。予想外なことに、保存性が高く、VPS13との相同性も高いATG2AのC末端領域はオートファジーには必要ありませんでした。それぞれの領域がどのようにして異なるオルガネラを認識しているかは、今後解析する必要があると思われます。
本研究を遂行する上でお世話になりましたみなさまに、この場をお借りして、お礼を申し上げます。
   
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Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局