PubMedID |
29514857 |
Journal |
J Cell Sci, 2018 Mar 07; [Epub ahead of print] |
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Title |
Rab7 knockout unveiled regulated autolysosome maturation induced by glutamine starvation. |
Author |
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東北大学大学院 生命科学研究科 膜輸送機構解析分野 福田光則研 藤田尚信 2018/03/13
グルタミン飢餓によるオートリソソームの成熟促進
先日、JCSにアクセプトされた論文を紹介させて頂きます。
私たちは、哺乳動物の培養細胞を用いて、オートファジーに関わるRabを今一度スクリーンし、Rab7を含む一群のヒットを得ました。『なんだRab7か』と思うかもしれませんが、もう少しお読み下さい。Rab7の機能不全は、栄養条件下でオートファジックフラックスを強く抑えましたが、不思議なことに、飢餓条件下ではその影響はほとんど見られませんでした。一般に、Rab7はオートファゴソームとリソソームの融合に必要だと考えられていますが、哺乳動物の培養細胞でRab7をノックアウトしてもオートファゴソームは蓄積せず、オートリソソームが異常に蓄積していました。この結果は、哺乳動物の細胞では、Rab7はオートファゴソームとリソソームの融合に必須ではないことを示しています。さらに、短時間のグルタミン飢餓により、蓄積したオートリソソームが急速に消失することから、飢餓により、Rab7の機能不全をバイパスし、オートリソソームの成熟を促す未知のメカニズムの存在が明らかになりました。ちなみに、グルタミン飢餓によるオートリソソームの成熟促進は、野生型の細胞でも見られます。
グルタミン飢餓により、急速にオートリソソームの成熟が促進されるメカニズムは、今のところ全く分っていません。Torin2によりmTORを強制的に不活性化させてもオートリソソームの成熟は見られませんし、転写阻害剤や翻訳阻害剤で処理しても、飢餓によるオートリソソームの成熟は影響を受けませんでした。また、V-ATPaseの活性調節は、栄養飢餓により誘導されるオートリソソーム成熟の主要なメカニズムではなさそうです。今後は、グルタミンの欠乏により、オートリソソームの成熟が促進されるメカニズムの全容を明らかにしたいと考えています。