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PubMedID 29255173 Journal Nat Cell Biol, 2018 Jan;20(1);81-91,
Title The autophagy receptor ALLO-1 and the IKKE-1 kinase control clearance of paternal mitochondria in Caenorhabditis elegans.
Author Sato M, Sato K, ..., Kosako H, Sato K
群馬大学・生体調節研究所  生体膜機能分野・細胞構造分野    佐藤美由紀     2018/03/26

父性オルガネラ選択的オートファジーを制御する新規因子の同定
私たちはC.elegansの受精卵の中で,精子に由来するオルガネラ(ミトコンドリアやMOsと呼ばれるリソソーム様オルガネラ)がオートファジーによって選択的に分解される現象を見出し,この現象をアロファジーと命名しました(Sato&Sato, 2011).この発見以来,アロファジーにおいて基質選択性を制御する因子の探索を続けてきましたが,ようやく今回の論文で二つの因子,ALLO-1とIKKE-1の同定を報告することができました.これらの変異体ではLGG-1(LC3ホモログ)が父性オルガネラ周囲に局在化できなくなり,父性オルガネラの分解が阻害されます.ALLO-1は全体的な配列は線虫類特異的ですがLIRを持ち,オートファジーレセプターとして働く因子と考えられました.IKKE-1は哺乳類のTBK1やIKK epsilonに相同性を示すキナーゼで,ALLO-1と相互作用すること,またリン酸化の標的の一つはALLO-1であることが示唆されました.また,異所的にユビキチン化を誘導する実験から,ALLO-1はユビキチン化依存的に局在化し,そこにオートファジー因子を局在化させることも判明しました.これらの結果は,哺乳類におけるゼノファジーなど選択的オートファジー経路におけるTBK1とオートファジーレセプターの関係によく似ています.キナーゼとレセプターによる制御が選択的経路の共通の原理であることがわかってきました.
   
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Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局