PubMedID |
29868776 |
Journal |
Brain, 2018 Jun 02; [Epub ahead of print] |
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Title |
Biallelic UFM1 and UFC1 mutations expand the essential role of ufmylation in brain development. |
Author |
Nahorski MS, Maddirevula S, ..., Komatsu M, Alkuraya FS |
新潟大学大学院医歯学総合研究科 小松研究室 石村亮輔 2018/06/13
UFM1システムの機能低下は小児てんかん性脳症を引き起こす
ユビキチン様タンパク質UFM1は前駆体として合成され、UFM1特異的プロテアーゼUFSP1あるいは2で切断され、C末端にグリシンを露出した成熟型となります。成熟型UFM1はE1様酵素UBA5(このE1様酵素はGABARAPファミリーに結合する)により活性化され、E2様酵素UFC1に転移され、最終的に、UFM1は細胞内の標的タンパク質と共有結合し、標的タンパク質の機能変換を引き起こすと考えられています。標的タンパク質に結合したUFM1はUFSP2により切断されることから、このシステムは可逆的な反応システムです(Komatsu et al., EMBO J, 23(9): 1977-1986 2004, Kang et al., J Biol Chem, 282(8): 5256-5262 2007, Tatsumi et al., J. Biol. Chem, 285(8): 5417-5427 2010など)。
UFM1システムの生理的役割およびヒト疾患との関連はほとんど不明なままでしたが、2016年、私たちおよびフランスBonneauらのグループは独立に、欧州の複数の家系において小児てんかん性脳症の原因遺伝子としてUBA5遺伝子の複合ヘテロ接合体変異を同定しました(Muona et al., Am J Hum Genet, 99(3): 683-694, 2016、Colin et al., Am J Hum Genet, 99(3): 695-703, 2016)。また、それらUBA5変異遺伝子産物は酵素活性が有意に減弱した低形質、あるいは機能消失であることを確認しました。私たちが特定した患者は、機能欠失型UBA5と低形質のUBA5遺伝子を持っており、UBA5の機能低下が病態発症に関与することが明らかになりました(Muona et al., Am J Hum Genet, 99(3): 683-694, 2016、Ishimura et al., Febs Lett, 591(1):196-204, 2017)。
今回、UBA5変異を持つ患者と同様の症状を示す中東およびスイスの家系の遺伝子解析から、UFM1あるいはUFC1のホモ遺伝子変異を同定し、変異UFM1あるいはUFC1も細胞内タンパク質へのUFM1修飾が減弱することを見出しました(Nahorski et al,. BRAIN 2018 doi:10.1093/brain/awy135)。つまり、UFM1システムの機能異常が病態発症に関与することを意味します。The Exome Aggregation Consortiumのデータベースから、アジア人種でも機能に影響を与えうるUBA5バリアントは他の人種からやや少ない頻度であるが存在しており、日本の家系においてもUBA5の変異を持つ家系があることが予想されます。