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PubMedID 30309841 Journal EMBO Rep, 2018 Oct 11; [Epub ahead of print]
Title NDP52 interacts with mitochondrial RNA poly(A) polymerase to promote mitophagy.
Author Furuya N, Kakuta S, ..., Saiki S, Hattori N
順天堂大学大学院医学研究科  神経学講座    古屋徳彦     2018/10/16

マイトファジーにおけるNDP52の新規機能
最近発表いたしました私達の論文を紹介させていただきます。

PINK1/Parkin介在性マイトファジーはほ乳類で最も解析の進んでいるマイトファジーの機構です。PINK1/Parkin介在性マイトファジーに関わるオートファジーレセプターとして、OPTNとNDP52がミニマムエッセンシャルであることがYouleのグループによって報告されています(Lazarou,M. et al, Nature 524: 309-314 (2015))。これら二つのレセプターがミトコンドリア脱共役剤によるマイトファジー誘導時にどのような挙動をとるのか、タイムラプス観察により比較したところ、OPTNは脱分極したミトコンドリア全体に局在してくるのに対し、NDP52は一部のミトコンドリア(特に小さいミトコンドリア)にのみに局在することに気がつきました。さらにNDP52のN末にあるSKICHドメインを欠損させると、NDP52の挙動がOPTNと類似なものに変化したことから、NDP52の挙動がSKICHドメイン依存的であることが分かりました。SKICHドメインはNDP52とTBK1の結合に関わることが報告されているため、NDP52の挙動に対するTBK1の関与を検討いたしましたが、TBK1はNDP52の挙動に影響しませんでした。そこで、TBK1以外のSKICHドメインと相互作用するタンパク質のスクリーニングを行い、Mitochondrial RNA poly(A) polymerase (MTPAP)を同定いたしました。MTPAPのノックダウンによって、NDP52の挙動がOPTNやNDP52 ∆SKICH変異体と類似したものに変化することから、NDP52特有の挙動はSKICHドメインを介したMTPAPとの結合によるものと示唆されました。MTPAPはその名前の通り、ミトコンドリア内でmRNAにpoly (A) tailを付加する酵素であり、ミトコンドリアマトリックスに局在しています。従って、「どうやって細胞質局在のNDP52とMTPAPが相互作用するのか?」というのがこの研究をまとめる上で大きな問題でした。検討の結果、Levineのグループが報告したprohinitin-2(Wei, Y., et al, Cell 168: 224-238(2017))と同様にプロテアソームによるミトコンドリア外膜のラプチャー依存的に、NDP52がミトコンドリア内に侵入しMTPAPと結合することが分かりました。さらに、NDP52とMTPAPが結合した複合体は、NDP52単独よりLC3との親和性が高く、NDP52-MTPAP複合体が形成されたミトコンドリアはよりマイトファジーを受けやすいことが分かりました。以上のことから、NDP52-MTPAP複合体はオートファジーによる不良ミトコンドリア認識機構の一つであることが分かりました。

しかしながら、プロテアソームによりミトコンドリア外膜がラプチャーされたミトコンドリアの「内膜をどのようにしてNDP52が通過するのか?」という大きな謎が残っています。今後の研究で明らかにして行きたいと思います。
   
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