PubMedID |
17499388 |
Journal |
J Am Acad Dermatol, 2007 Jul;57(1);116-9, |
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Title |
Refining dermatology journal impact factors using PageRank. |
Author |
Dellavalle RP, Schilling LM, ..., Van de Sompel H, Bollen J |
東京都臨床医学総合研究所 カルパインPT 反町 洋之 2007/08/15
PageRankによるジャーナルのランキング
あまりサイエンスに関係ない話で、しかも少し長いですがご勘弁を...
また、実際には標記の論文を紹介したいわけではなく、紹介したいのは、Bollen, J., Rodriguez, M.A., and Van de Sompel H. (2006) “Journal Status” Scientometric, vol. 6, arxiv.org:cs.DL/0601030.で、PubMed IDが無い(ので標記の論文(これは皮膚科の例です)を引きました)のですが、以下のサイトで見ることができます。
http://arxiv.org/abs/cs.DL/0601030
さらに、実は、少し古いこの論文を最初に見つけたわけではなく、最近JBCのWeb pageにあった“JBC on Journal Ranking”と”Impact Factor Page Rankled”という記事を読んで、興味深いと思ったのが発端です。以下で見られます。
”Impact Factor Page Rankled”: http://www.jbc.org/misc/Journal-Ranking-ASBMBToday.pdf
“JBC on Journal Ranking”: http://www.jbc.org/misc/journalranking.shtml
要点を書くと、ISIのインパクトファクター(IF)は、雑誌の”popularity”を表わしているが、必ずしもcitationしている雑誌がどのようなものかを考慮していない(Natureに引かれても、JBに引かれても1回引用となる)。よくご存じのGoogle searchで使われているPageRankというアルゴリズムは、あるWeb pageが別のWeb pageにリンクされているとき、後者のWeb pageが他のWeb pageにどれだけリンクされているかを考慮して、そのリンクに重みを付けて、最初のWeb pageのランクを計算しています。これを科学ジャーナルに応用するべきだ、というのが最初の論文です。つまり、例えばNatureに引かれたら30、JBに引かれたら1とする、という感じです。実際には、全てのジャーナルの引用データをパラレルに反復計算して、収束値を出します。
この値をPRとすると、PRのランクは、一位Nature, 16.78; 二位JBC, 16.39, 三位Science, 16.38, 四位PNAS, 14.49となります。IFの高いNew Eng J Medは5.7です。このように、IFは高いがPRが低いものは、”popular journals”、逆にIFは低いがPRの高いものは”prestigious journals”とBollenさんたちは名付けています。PRが高いということは、PRが高い雑誌からよく引かれているということです。
日頃JBCやPNASのIFが不当に低いと思っていたので、なんとなくなるほどと思いました。IFとPRをかけ算した(妥協案の)Y-factorという値も紹介されていて、これはNature, Science, New Eng J Med, Cellと並びますが、その後に、PNAS, JBCと続きます。いずれにしても、IFだけで全ての価値判断をするよりは、いろいろな値を考慮すべきだとは思いました。少なくともPageRankの技術はかなり興味深く、説得力のあるものだと思います。きっと、チカノーバーさんも同意してくれることでしょう...