PubMedID |
17707236 |
Journal |
Mol Cell, 2007 Aug 17;27(4);660-74, |
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Title |
20S Proteasome Assembly Is Orchestrated by Two Distinct Pairs of Chaperones in Yeast and in Mammals. |
Author |
Le Tallec B, Barrault MB, ..., Marsolier-Kergoat MC, Peyroche A |
東京都臨床医学総合研究所先端研究センター 田中啓二研 村田茂穂 2007/08/22
PAC4の発見
これまで私たちは哺乳類において20Sプロテアソームの分子集合を支援するシャペロン分子PAC1-PAC2ヘテロ二量体とPAC3を同定し、20Sプロテアソームの分子集合経路の詳細を明らかにしてきました。
ここで紹介する論文は、出芽酵母におけるPAC1-3のカウンターパートを同定し(Poc1-3と命名)、さらにPoc3はPoc4という新たに発見した分子とヘテロ二量体を形成しており、哺乳類においてもPoc4のホモログであるPAC4が存在し、PAC3と複合体(恐らくヘテロ二量体)を形成していることを示しています。
最初、Poc1-4はDNA損傷ストレスによる増殖停止を抑圧する遺伝子欠損株のスクリーニングの結果同定されました。不思議なことにこのスクリーニングで同定された遺伝子はPoc1-4の他はPRE9 (non-essentialな20Sプロテアソームサブユニット)、Ump1(20Sプロテアソーム分子集合シャペロン)という20Sプロテアソームの形成に関与するものばかりだったことから、分子集合の解析に至っています。Poc4(PAC4)欠損の表現型はPoc3(PAC3)欠損の表現型と同じであり、20Sプロテアソーム分子集合機構理解に新たな進展がみられたわけではありませんが、我々自身の解析を振り返って反省点を以下に3点。
(1)実は我々も数年前に2D-PAGEで展開したときにPAC3とほぼ同じ大きさ(13kDa)で等電点の異なるスポットからまさにPAC4のペプチドを同定していたのですが、解析当時のデータベースに不備があったためか、50kDaのタンパク質として同定され、放置していた経緯があります。このときにもっとちゃんと調べておくか、あるいはしばらくたった後にもう一度データベース検索をするくらいのしつこさを持つべきでした。
(2)大腸菌でPAC3を精製するときれいなホモ二量体でしたので、PAC4の存在は全く頭にありませんでした。大腸菌内でホモ二量体だからといって、in vivoでもそうであると決めてかかるのは危険でした(in vivoではホモ二量体とヘテロ二量体の混在かもしれませんが)。
(3)Poc(酵母)とPAC(哺乳類)の間のアミノ酸配列の相同性はわずか6-7%でしかなく、通常のblastではつかまりませんでした。しかしPSI-blastを使うとちゃんとつかまるのですね。確か、班会議のときに水島先生が「PSI-blastおすすめです」とおっしゃっていたことを思い出しました。