PubMedID |
17699591 |
Journal |
Mol Biol Cell, 2007 Aug 15; [Epub ahead of print] |
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Title |
Atg18 Regulates Organelle Morphology and Fab1 Kinase Activity Independent of Its Membrane Recruitment by Phosphatidylinositol 3,5-Bisphosphate. |
Author |
Efe JA, Botelho RJ, Emr SD |
基生研・分子細胞生物学研究部門 大隅良典研 鈴木邦律 2007/08/29
Atg18の脂質結合能は液胞膜に局在化するために存在する
ATG18はオートファジーに必須な遺伝子であると共に,液胞形態の維持にも機能している.Atg18pはPtdIns(3,5)P2に結合するタンパク質として知られており,atg18破壊株ではPtdIns(3,5)P2レベルが上昇する.
PtdIns(3)P 5-kinaseであるFab1pの活性化因子として知られているのがVac7pとVac14pである.ATG18とこれらの遺伝子を同時に破壊すると,PtdIns(3,5)P2が検出されなくなったことから,Atg18pは活性化したFab1p活性を抑える働きをしているものと考えられる.
VAC14遺伝子を破壊すると,PtdIns(3,5)P2レベルが低下するため,Atg18pは液胞膜に局在化できなくなる.vac14破壊株は液胞が肥大化するという表現型を示すが,その株内でAtg18pを強制的に液胞膜に局在化させると液胞の形態が正常に戻る.PtdIns(3,5)P2結合能を失った変異Atg18を液胞膜に強制的に局在化させても同様の結果が得られ,PtdIns(3,5)P2のレベルも正常に戻る.つまり,PtdIns(3,5)P2に結合できなくても,液胞膜に局在化できさえすれば,Atg18pは機能できるという結論になる.
ただし,液胞膜に局在化させた変異Atg18pをatg18破壊株に発現させてもCvt pathwayはほとんど戻らないことから,Cvt pathway/autophagyの活性を維持するにはAtg18pが液胞膜から外れるといった動的なステップが大事なのかもしれない.
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前半はきれいなストーリーですが,後半は散漫な印象です.Fab1pの活性とAtg18pとの関連をもう少し突っ込んで調べるべきだったでしょう.in vitroでFab1pのPtdIns(3,5)P2活性を測定し,Atg18pを加えると低下します,みたいな実験ができればいいんでしょうけど,難しいんでしょうね・・・