PubMedID | 17709747 | Journal | Proc Natl Acad Sci U S A, 2007 Aug 20; [Epub ahead of print] | |
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Title | The Atg5 Atg12 conjugate associates with innate antiviral immune responses. | |||
Author | Jounai N, Takeshita F, ..., Suzuki K, Okuda K |
以前 Prenice E. ら(2004,JBC)により、哺乳動物細胞に侵入したウィルスが誘導するオートファジーは、ウィルスの分解ではなく増殖に利用されるものだという報告があったが、その分子機構は不明であった。本報告では、このウィルス増殖におけるオートファジー関連因子の役割を調べている。その結果、Atg12-Atg5 がisRNA-mediated signaling 経路で働くIPS-1とRIG-I のCARD とよばれるドメインを介して結合することが分かった。IPS-1とRIG-Iの結合は、type I INF の産生を促進することが知られているが、Atg12-Atg5 がその間に結合することにより、INF産生を抑制し、その結果ウィルスが増殖可能となるようだ。Atg5 KR mutant により、IFN 産生の抑制効果が見られなくなることからAtg12-Atg5 が必要としているが、Atg5 単独でもその役割は十分なようである。
病原性細菌の一部にはその認識にAtg5 が働く、という報告もあり、Atg5 のオートファゴソーム形成以外の役割が見え隠れする傾向にあるように思います。しかし、最近Zhao Z. ら(2007,Autophagy)によるRNA ウィルスの増殖にはAtg5 は必要ではない、という報告もあり、依然ウィルス増殖におけるオートファジーの役割については幾つか疑問が残ります。また、細胞質中に存在するAtg5 がミトコンドリアに局在するIPS- 1と共局在する点は、その生理的意義などより詳細な解析が必要に思いました。
1 | 国立感染症研究所細胞化学部 第2室 谷田 以誠 | RNAウイルスとオートファジー | 2007/08/30 |
>最近Zhao Z. ら(2007,Autophagy)による....
>............ウィルス増殖における >オートファジーの役割については幾つか疑問が そう思います。ウイルス増殖とオートファジーについてのコメントです。未発表のデータですが、うちでもある種のRNAウイルスをオートファジー欠損細胞に感染させ、初期感染、ウイルス増殖、ウイルスの細胞外放出、再感染をひととおり見ましたが、野生型とほとんど差がありませんでした。RNAウイルスも種類によっていろいろあるかもしれません。RNAウイルスにおけるオートファジーの役割については一般化できないのかもしれません。 |
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2 | 東京医科歯科大学 細胞生理 水島昇 | Atg12-Atg5なのか、オートファジーなのか | 2007/09/01 |
Atg7ノックアウトMEFでもインターフェロン産生が増えることから、Atg12-Atg5結合体が抑制的であると結論されています。HA-Atg5単独の高発現でもIFN産生抑制効果がありそうなのは、内因性のAtg12と結合しているためと記載されています(実際は未結合のAtg12はほとんどないため、HA-Atg5は合成直後のAtg12と結合しているということになります。結果的に内因性のAtg12-Atg5結合体に比べてどのくらい「高発現」になっているかをみたいところです。) またHA-Atg5、HA-Atg12のいずれもがCARDドメインに結合できるというのは驚きです。さまざまな分子同士の結合があったとしても、オートファジーそのものがIFN産生に抑制的であるという可能性もまだ残されていいように思えます。コンジュゲーション系以外のKOがあればよいのですが。 | |||