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PubMedID 17911112 Journal J Biol Chem, 2007 Oct 1; [Epub ahead of print]
Title Evidence for the direct involvement of the proteasome in the proteolytic processing of the Aspergillus nidulans zinc-finger transcription factor PACC.
Author Hervas-Aguilar A, Rodriguez JM, ..., Arst HN, Penalva MA
東京都臨床医学総合研究所  カルパインPT    反町 洋之     2007/10/09

カルパインが上流♪
カビAspergillus nidulansはカルパインPalB(酵母Cpl1のホモログ)−転写因子PacCなどからなるアルカリ環境適応シグナル伝達系を持っている。アルカリ環境ではPalBがPacCのC末部分を切断することで活性化し、アルカリ環境用遺伝子群がonになる。このPacCのプロセシングは実は2段階であり、1段目はPalBだが2段目は不明であった。今回、酵母及びA.nidulansのプロテアソームβ5サブユニットのviableなミスセンス変異体(各々、pre2K108R, preB2K101R)を用いて解析した結果、2段目はプロテアソームらしいことが示された。PacCのPEDと呼ばれる2段目のプロセシング効率を司るドメイン内の、Gly/Ala/Pro-rich配列(ストッパーの役目?)やLys残基(Ub化?)が関与するらしいことも示されている。
preB2K101R変異体では活性化型PacCが減少し、切れ方も変化するが、不思議なことにPacCの総量も激減する。この変異によりプロテアソームの特異性が変化するためとspeculateされているが、データはまだない。PacCのリン酸化も関与しているようで、逆にPacCのUb化は検出できない。変異PacCとpreB2変異の掛け合わせによる表現型も解釈が難しい。
おそらくプロテアソームが2段目のプロセシングに関わるのは間違いないが、他のプロテアーゼの関与も含め、まだ解明すべき点が多々残されている。しかし、カルパインがプロテアソームの上流で働いているという事実を最も明確に示している系ではある。酵母Cpl1−Rim101や線虫TRA-3−TRA-2、さらには、哺乳類のPalBH(−相手不明)での状況が興味深い(ただ、Rim101はPacCと違って2段階ではないようですね)。
   
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