PubMedID |
17991864 |
Journal |
Science, 2007 Nov 9;318(5852);977-80, |
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Title |
Rheb activates mTOR by antagonizing its endogenous inhibitor, FKBP38. |
Author |
Bai X, Ma D, ..., Liu Y, Jiang Y |
東京医科歯科大学 細胞生理学分野 水島昇 2007/11/12
RhebによるmTOR抑制のメカニズム解明か? FKBP38の関与
タンパク質合成/分解を制御するmTORは、ラパマイシン-FKBP12複合体によって阻害されることがよく知られています。しかし、カビが作る抗菌物質ラパマイシンによってわざわざmTORが制御されるのはなぜなのかという疑問がありました。今回、FKBP38がラパマイシン非存在下でも、あたかもラパマイシン-FKBP12複合体のようにmTORを阻害することが発見されました。彼らはTwo-hybrid法を用いRheb(てmTOR活性化因子)の結合因子としてFKBP38を同定し、これがmTORにも結合することをみつけました。FKBP38が結合しているとmTORは不活性ですが、アミノ酸や血清によって活性化されたRhebは、mTORからFKBP38を奪い取り、その結果mTORが活性化されるというストーリーです。ノックアウト実験こそありませんが、過剰発現、RNAi、変異体発現などのデータはクリアです。mTORの制御に関して非常に重要な経路が発見された可能性があると思います。FKBP38はBcl-2(Shirane and Nakayama, 2003)やカルシニューリンとも結合しますので、Rhebはそれらの経路にも関与しているかも知れないと筆者らは結んでいます。