PubMedID |
17999726 |
Journal |
Traffic, 2007 Nov 12; [Epub ahead of print] |
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Title |
INDUCTION OF AUTOPHAGY PROMOTES FUSION OF MULTIVESICULAR BODIES WITH AUTOPHAGIC VACUOLES IN K562 CELLS. |
Author |
Fader CM, Sanchez D, Furlan M, Colombo MI |
基礎生物学研究所 分子細胞生物学研究部門 大隅良典研 壁谷 幸子 2007/11/21
Rab11 が取りもつオートファゴソームとMVBsの融合
本報告では、MVBs とオートファゴソーム (AP) との融合にRab11 が必要であることを示している。この過程にはCa2+ が必要であり、キレート剤存在下ではRab11 とLC3の共局在は見られない。また、Rab11 ドミナントネガティブを発現するとAPとMVBsとの融合は阻害される。しかし、LC3 のドットは依然存在するため、AP 形成にはRab11 は必要ないようである。MVBsと融合したAP はリソソームと融合するが、この過程にはRab7 が関与しており、Rab11 は必要ない。
本報告でのMVBs を後期エンドソームとして読み進めると、読みやすく、かつ従来の知見と一致していて新規性に欠ける。著者らは、以前の報告でK562 細胞(赤白血病由来細胞)を用いてRab11 がMVBs に局在し、MVBs 間の融合に必要であることを報告しているため、今回の報告となった。しかし、後期エンドソームのマーカーもMVBs のマーカーとして扱うなど、MVB 経路とエンドサイトーシスの区別が曖昧で、APと融合しているものが本当にMVBs かどうか、疑問が残る。
一方で、最近、Stenmark らをはじめMVB 経路とオートファジーとの関係を調べた報告が相次いで報告されている。これらは、ESCRT 構成因子がオートファジーとMVB 経路の合流に加え、神経性疾患にも深く関わっていることを示している。APが内容物を消化するためになぜMVBsと融合するのか、今後の解析に期待したい。
最後に、一つ質問があります。本報告ならびに先のStenmark らのモデル図では、APとMVBs の融合した膜構造物が既に一重膜になっています。これは正しいのでしょうか? AP の内膜は、リソソームと融合してはじめて消化されると思っていました。どなたか、ご存じの方がいらしたら教えていただけないでしょうか?