PubMedID |
18039653 |
Journal |
J Biol Chem, 2007 Nov 26; [Epub ahead of print] |
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Title |
Autophagy is involved in nutritional stress response and differentiation in Trypanosoma cruzi. |
Author |
Alvarez VE, Kosec G, ..., Cazzulo JJ, Turk B |
順天堂大学医学部 木南英紀研 小松雅明 2007/12/10
きっとある。
本論文は、Trypanosoma cruziのオートファジーの紹介です。
Trypanosoma cruziは、中南米アメリカにおいてシャーガス病の原因となるパラサイトです(アフリカのツェツェバエが媒介し馬などでナガナ病を起こすのは、Trypanosoma bruceiです)。
Trypanosoma cruziのGenome projectが終了したことから、著者らはAtg遺伝子の検索を行ないました。その結果、Atg8系(Atg8.1, Atg8.2, Atg4.1, Atg4.2, Atg7, Atg3)は見つかるものの、Atg12系のAtg10, Atg5、Atg12は見つかりませんでした(Atg16はある)。その後、In vitroの生化学的解析からTrypanosoma cruziのAtg4のペプチダーゼ活性を、酵母Atg欠損株への相補実験からTrypanosoma cruziのAtg8系が部分的であるが機能的であることを示しています。ついで、Trypanosoma cruzi Atg8特異的抗体を用いた免疫染色から、Atg8.1がLC3と同様に、大きさ不明ですが飢餓に対応してドット形成すること(II型があるかどうか詳細に見てほしかった)、電子顕微鏡解析から飢餓に対応してオートファゴソーム様構造体が出現することを示しています(Trypanosomaの大きさが50 um程度ですから、1〜5 um程度でしょうか)。さらに、Trypanosoma cruziは昆虫およびヒトの寄生場所や環境に対応して増殖・形態変化を行ないますが、EpimastigotesからMetacyclic trypomastigotesの間におこる形態変化(代謝変化も起こる)時に、LC3のドットがかなり確認されることを示しています。
このパラサイトに対するワクチンはなく、有効な治療法がありません。リソソームにあたるReservosome内のシステインペプチダーゼ・Cuzipainの阻害剤が、Trypanosoma cruziの増殖を抑制することから、オートファジー阻害も有効な治療法になるかもしれないと結んでいる。
スケールバーが無いなど不備な点もありましたが、基本的には信頼のあるデータが揃っていると思われます。ですので、きっと探せばAtg12, Atg10ホモログもあると思います。Atg16もあることですし。