PubMedID |
17627283 |
Journal |
EMBO J, 2007 Aug 8;26(15);3592-606, |
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Title |
XRab40 and XCullin5 form a ubiquitin ligase complex essential for the noncanonical Wnt pathway. |
Author |
Lee RH, Iioka H, ..., Natsume T, Kinoshita N |
基礎生物学研究所 形態形成研究部門 木下典行 2008/02/28
カエル胚のRab40ユビキチンリガーゼ複合体の機能
先日の班会議でカエルの発生の話をした木下です。再びカエルの話で恐縮ですが私達が報告したユビキチンリガーゼに関する論文を紹介させていただきたいと思います。
当初の目的:カエル胚の原腸形成運動にはnoncanonical Wntシグナルが重要です。そのシグナル伝達には膜輸送系が関わっていることが示唆されています。そこでその分子機構を明らかにするため、Wntシグナル伝達に関わるRab GTPaseを同定しようと考えました。
結果:カエル初期胚で発現する30数個のRabの中から、原腸形成運動とWntシグナル伝達に必須のRabを検索してRab40を同定しました。Rab40はSOCS boxを持ち、Cullin5/ElonginB/Cと結合してユビキチンリガーゼを形成する風変わりなRabです(この複合体については嘉村先生達により2004年Genes Dev.に報告されています)。その基質としてRap2という別の単量体GTPaseを同定し、Rab40がそのユビキチン化により細胞内局在を制御することを明らかにしました。またRab40−Rap2はプロテインキナーゼMINKを介してWntシグナルの鍵となるDishevelledの機能を制御し、noncanonical Wntシグナル伝達に必須の役割を果たしていることがわかりました。
考察:当初の目標と異なり、Wntシグナル伝達におけるユビキチンリガーゼの重要性を示すことになりました。しかしRab40はゴルジ体に主に局在しており、膜タンパクの局在を制御することから、ユビキチン化を通して膜輸送系と大きく関わっている可能性があります。この論文ではその分子機構については明確にできませんでしたが、ユビキチン化による膜輸送系制御の未知のメカニズムにRab40が関わっているかもしれないと密かに考えています。またタンパク質分解との関わりも明確でなく今後の課題です。
最後にお願いなのですが、カエル胚丸ごとにMG132などのプロテアソーム阻害剤をかけても効きにくいようで苦労しています。他に試してみる価値のある阻害剤などありますでしょうか。また別の方法として例えばプロテアソームに対してドミナントネガティブに効くような変異遺伝子などあるのでしょうか。自分の不勉強を棚に上げてのお願いですが、アドバイスいただけたら幸いです。