PubMedID | 18287533 | Journal | Mol Biol Cell, 2008 Feb 20; [Epub ahead of print] | |
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Title | Arp2 links Autophagic Machinery with the Actin Cytoskeleton. | |||
Author | Monastyrska I, He C, ..., Li Z, Klionsky DJ |
出芽酵母の飢餓で誘導されるオートファジーは非選択的オートファジーですが。アミノペプチダーゼI (ApeI)は栄養条件下でオートファゴソームに選択的に取り込まれ、液胞に運ばれます(Cvt pathway)。この経路、最近は、ペキソファジーなどとともに、選択的オートファジーと呼ばれています。これまでに、Klionskyのグループは、選択的オートファジーにアクチン細胞骨格が必要とされること、それはAtg11を介したAtg9のPAS (オートファゴソーム前駆体)への局在に関わることを報告していました。今回の話は、その仕事の続きです。
Arp2はアクチン重合の形成に働くArp2/3 複合体のサブユニットの一つであり、その温度感受性変異株は、非許容温度下でApeI輸送が止まり、ペキソファジーも障害されます。この時、飢餓誘導のオートファジーは若干の低下が見られる程度です。面白いのは、モゴモゴ(サワサワ?)と動いているAtg9が、Arp2変異で、ぴったりと止まっているところです。Atg9はPASと細胞内のどこかを行ったり来たりしているようですが、Arp2変異でAtg9はPASには局在しなくなります。Atg9はAtg11を介してArp2と相互作用すること、正常なArp2/3複合体の活性がApeI輸送に必要とされます。つまり、Atg9はAtg11に依存してArp2/3複合体と相互作用し、PASへ向かうようです。Atg9が膜タンパクであること、Arp2/3がエンドサイトーシスの小胞形成などにも関わる報告から、Atg9の存在している膜動態にArp2/3複合体、そしてアクチンフィラメントが関与することが想像されます。
Ap2/3複合体のコンポーネントの変異の違いで飢餓誘導のオートファジーに差が見えることもあり、この現象がどこまでApeI輸送特異的なのか、また、Atg19はどうしているのか気になるところです。
1 | 基生研・分子細胞生物学研究部門 大隅良典研 鈴木邦律 | Atg9のサワサワ | 2008/03/03 |
Atg9の動きを音で表現するのは難しいですが,個人的にはザワザワでしょうか.動きにあまり秩序は見られず「動き回る」という表現がぴったりです.
>Arp2変異でAtg9はPASには局在しなくなります。 Figure 2の実験からこのような解釈が出ているのだと思いますが,そもそもactin骨格に障害が生じた時点でApe1はPASから離れていくので,この結論を下すのは早いと思います(本文中ではっきりと書いちゃってますが).Figure 1Bで示されているように,非選択的なオートファジーは起きているので,Atg9はある程度PASに局在しているはずです.他のAtgタンパク質との共局在を確認しておく必要があるでしょう. さて,Arp2/3 complexのコンポーネントをきちんと調べて結論を導いていることから,Arp2/3 complexがcargoを選択的に積み込むのに効いていることは確かでしょう.著者らは,arp2の変異によりAtg9の動きが悪くなるからだと説明していますが,この現象がcargoの選択的輸送にどのような影響を与えているのかは全く不明です.今後の詳細な解析が待たれるところです.個人的には,この論文で一番感心したのは,Atg9の動きをきちんと見るために適切な顕微鏡システムを構築しているところです.丁寧な観察を行っている点は評価すべきでしょう. |
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