PubMedID | 17371879 | Journal | J Biol Chem, 2007 May 11;282(19);14493-504, | |
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Title | Myogenic stage, sarcomere length, and protease activity modulate localization of muscle-specific calpain. | |||
Author | Ojima K, Ono Y, ..., Labeit S, Sorimachi H |
骨格筋特異的カルパインp94のプロテアーゼ活性不全が肢帯型筋ジストロフィー2A型(LGMD2A)の発症原因である。しかし、in vivo骨格筋におけるp94の基質は現在までに明らかになっていないため、p94が何を基質としてモジュレートできないために最終的にLGMD2Aが発症するのかそのプロセスは不明である。この論文ではp94のプロテアーゼ活性と骨格筋細胞でのサルコメアにおけるp94の局在に関連性があることを報告した。p94はコネクチンと直接結合し、サルコメア内でM線およびN2A領域に局在する。p94の局在様式は成熟したサルコメアではその長さに応じて変化すること(サルコメアが長い場合p94はN2A領域に集積する、一方短い場合はM線に集積する)、しかもその局在変化はp94のプロテアーゼ活性に依存していることが明らかとなった。つまりプロテアーゼ活性がない場合はサルコメア長に依存したp94のN2A領域への集積が起こりにくくなる。このようなサルコメア長に依存したp94の局在変化は骨格筋細胞への運動刺激に対してp94がそのプロテアーゼ活性を伴って何らかの応答をしていることを示している。すなわち、p94が骨格筋細胞への伸展刺激に応答するセンサー分子として機能しているのではないかと考えられる。LGMD2Aにおいてはこのシステムが部分的に破綻するため、結果的に骨格筋細胞が伸展刺激に応答することができなくなり、症状が現れるのであろう。しかし、p94のプロテアーゼ活性を何の基質に対して発揮しているのかなど未解明な点も残っている。