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PubMedID 18281291 Journal J Biol Chem, 2008 Feb 15; [Epub ahead of print]
Title Mitochondrial autophagy is a HIF-1-dependent adaptive metabolic response to hypoxia.
Author Zhang H, Bosch-Marce M, ..., Gonzalez FJ, Semenza GL
筑波大学生命環境科学研究科  千葉智樹研究室    佐藤晃嗣     2008/02/29

HIF-1依存的低酸素応答マイトファジー
酸素分圧が低い条件下では細胞はHIF-1 (Hypoxia-inducible factor 1)が中心となり、様々な低酸素応答を誘導する。この時の応答の一つとして、ミトコンドリアにおける電子伝達系を介したエネルギー産生が低下することがこれまでに報告されている。本論文は低酸素応答の一つとして新たにミトコンドリアの減少をあげ、その減少がオートファジーによるものであることを報告している。
実験は主にHIF-1αKO MEFを使用しており、低酸素条件下でHIF-1αKOではミトコンドリアの減少、酸素消費低下が誘導されないことを示している。またこれらの応答はBeclin-1, Atg5の発現抑制により阻害され、マイトファジーによるものであることを示している。マイトファジー誘導経路は、HIF-1標的遺伝子であるBNIP3というBH3ドメインを有するタンパク質がBcl2と結合することで、Bcl2と結合していたBeclin-1 をフリーにするためと結論付けている。また低酸素下ではHIF-1αKOにおいてROSと細胞死が増加しており、HIF-1αによるマイトファジー経路が低酸素下のミトコンドリアからのROS産生を抑制するのに重要であることを示している。
低酸素時に単なる呼吸活性制御にとどまらずミトコンドリアそのものを除去しているということは、それだけミトコンドリアが制御しにくい危険なオルガネラであることを意味しているのかもしれない。しかし、癌細胞など低酸素条件下にある細胞は酸素消費が減少しているという考えが一般的だが、癌細胞の種類によっては必ずしも呼吸活性が低下していないケースも報告されている。本論文で使用しているMEF以外の細胞ではどのような反応が見られるのか気になるところである。
   
   本文引用



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