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PubMedID 17646163 Journal J Biol Chem, 2007 Sep 21;282(38);27847-56,
Title Stomach-specific calpain, nCL-2/calpain 8, is active without calpain regulatory subunit and oligomerizes through C2-like domains.
Author Hata S, Doi N, Kitamura F, Sorimachi H
東京都臨床医学総合研究所カルパインPT  反町洋之研    秦 勝志     2008/03/01

カルパインの新たな活性制御様式か?
組織特異的カルパインの1つnCL-2/calpain 8は胃腸粘膜上皮の粘液細胞特異的に発現し、粘膜防御に関与すると考えられている。一次構造上、典型的な4つのdomainで構成され、さらにconventional calpainであるm-calpainの活性サブユニット(mCL)と全体に高い相同性(>60% identity)を有することから、カルパイン制御サブユニット(30K)とのヘテロダイマー形成など、その性質はconventional calpainに類似することが予想されていた。この論文は、リコンビナントnCL-2の酵素学的性質を初めて明らかにしたものである。この中で特筆すべきことは、至適温度、インヒビターに対する感受性、カルシウム要求性がmCLと類似しているにも関わらず、nCL-2は30Kと結合せずmonomerまたはhomo-origomer(おそらく2-3量体)で存在することである。詳細に調べると、oligomer形成にはpenta-EF-hand domain (domain IV)ではなくC2-like domain (domain III)が重要であること、oligomerの状態ではmonomerの時に比べ比活性が1/15程度になることが明らかになり、oligomer形成によるnCL-2活性の抑制というカルパインの新たな制御機構が示唆された。monomerとoligomerという2つの状態がどのように調節されているのか(調節因子の存在?)、mCLに高い相同性を示すにも関わらず何故30K非存在下で安定に活性発現できるのかなどの新たな課題について、組織からのnCL-2精製あるいはnCL-2の構造解析を通じて今後明らかにできればと思う。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局