PubMedID | 18321988 | Journal | Mol Biol Cell, 2008 Mar 5; [Epub ahead of print] | |
---|---|---|---|---|
Title | The Atg16L Complex Specifies the Site of LC3 Lipidation for Membrane Biogenesis in Autophagy. | |||
Author | Fujita N, Itoh T, ..., Noda T, Yoshimori T |
最近受理された、我々の論文を紹介させて頂きます。
遺伝学的な解析から、Atgタンパク質により構成される2つのユビキチン様結合系: Atg12システム、Atg8/LC3システムには直接的な接点があることが知られていましたが、その詳細については十分に明らかにされていませんでした。今回の論文では、2つの結合系の関わりについて検討しました。
哺乳動物細胞では、Atg12-Atg5結合体とAtg16Lは、約800 kDaの複合体 (Atg16L複合体)を形成しています。我々は、Atg16L複合体の構成成分であるAtg12、または Atg16Lを培養細胞に過剰発現させると、LC3の脂質修飾が強く阻害される現象を見いだしました。これらの阻害効果の分子機構を検討することにより、Atg12とAtg3 (LC3 結合系のE2酵素) の結合、またAtg16L複合体の膜局在がLC3の脂質修飾に必要であるとことが分かりました。さらに、Atg16L複合体を強制的に細胞膜に局在させると、細胞膜上でLC3の脂質修飾が起こりました (この現象は飢餓シグナルやPI3Kシグナルに依存していません)。これらの結果から、Atg16L複合体はLC3の脂質修飾の場を決める因子であると考えられます。
大隅研の花田先生らによって、Atg12-Atg5結合体によりAtg8の脂質修飾が促進されることがin vitroの実験系で示されています(PMID: 17986448)。このin vitroでのデータと今回の我々のデータは相補的な関係にあり、Atg16Lは脂質修飾の場所を決めるのに重要な因子なのだと考えられます。
どのようにAtg16L複合体が特定の膜を認識するのか、Atg16L複合体とAtg3はどこで出会うのかなど多くの課題に、今後取り組んで行きたいと考えています。
1 | 基礎生物学研究所 分子細胞生物学研究部門 大隅良典研 花田孝雄 | Atg12-Atg5・Atg16のもう一つの結合相手 | 2008/03/19 |
いくつかコメントしたいと思います。
まず、Atg16のcoiled-coil領域だけでAtg12-Atg5/Atg16 complexの局在を阻害するという結果は、面白く、また興味深い結果ですね。酵母ではAtg5とAtg16のPASへの局在は相互依存的なので、自分はこれまでAtg5とAtg16がコンプレックスになって出来る分子表面とターゲット因子が相互作用しているものと思っていましたが、mammalは少し違うのでしょうか。Coiled-coil領域だけで結合する相手とすれば、その因子もcoiled-coilを持っていそうですね。.....Atgタンパクの中で考えると絞られてきますね。 Atg12-Atg5の役割についてですが、in vitroの系を使った解析の過程で、Atg12-Atg5存在下の反応で系にPEが存在しないとAtg8がAtg3のN末に転移するという現象が観察されました。これはAtg3の活性システイン残基を経由して起こっており、Atg3のconjugating活性がAtg12-Atg5によって活性化されていることを示唆していると考えています。ですから、Atg12-Atg5/Atg16は単純にAtg3とPEを近接させているだけではなく、Atg12-Atg5によって反応自体が積極的に促進されていると考えています。もしも元々のAtg3の活性が高いと偶発的にどの膜でもPE化が起きてしまうと考えられます。Atg12-Atg5と出会ってはじめてその膜上でPE化が起きるように制御されているのではないでしょうか。 (無駄にできたAtg8-PEは即座にAtg4で切断されているかもしれませんが) P.S 敢えてツッこむ必要もないかもしれませんが、「先生」付けされるような者ではないので、ちょっと恥ずかしかったです。。 |
|||