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PubMedID 16410553 Journal J Cell Sci, 2006 Jan 15;119(Pt 2);360-9,
Title Quality control of a mutant plasma membrane ATPase: ubiquitylation prevents cell-surface stability.
Author Liu Y, Chang A
京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻  制御発酵学(阪井研)    橋本勝行     2007/01/12

本論文は、Saccharomyces cerevisiaeの細胞膜ATPaseであるPma1の細胞内への取り込みが、膜上もしくは膜に到達する前の段階で起こるユビキチン化によって促進されることを明らかにしたものである。Pma1は10回膜貫通型タンパク質で、半減期は11hと長い。
筆者らは以前、温度感受性変異株pma1-10株を用いて、制限温度下において新しく生成したPma1-10がすばやく細胞内に取り込まれ、液胞により分解されていることを明らかにした。このことから、細胞膜上で何らかの品質管理機構による認識を受けて分解された可能性があると考えた。
本論文では、エンドサイトーシスが起こらないend3-1株を用いて、細胞膜上のPma1-10がリバーシブルなユビキチン化を受けていることを示した。エンドサイトーシスにおいて、膜タンパク質の内部移行のステップを担っているEpsinファミリータンパク質の一つであるEnt1のUIM ( Ubiquitin-interacting motif )を欠損させたent1UIM株においては、ENT1株にくらべPma1-10が膜上で安定化されており、Pma1-10の内部移行には、Ent1のUIMを介したユビキチン化の認識が必要であることが示唆された。これらのことから、ユビキチン化の役割は、内部移行の最初の段階であるEpsinとEpsin binding partner(End3、Ede1)にトラップされるためのシグナルとなることであると考えられる。
Pma1-10のユビキチン化はRsp5に直接依存していなかったことから、膜タンパク質のユビキチン化に関わるE3酵素が他に存在する可能性がある。
   
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Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局