PubMedID |
17608927 |
Journal |
BMC Cell Biol, 2007;27, |
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Title |
c-Jun N-terminal kinase (JNK) cooperates with Gsk3beta to regulate Dishevelled-mediated microtubule stability. |
Author |
Ciani L, Salinas PC |
名古屋市立大学大学院医学研究科 再生医学部門 澤本和延研 池田麻記子 2008/04/01
Dishevelledを介したmicrotubuleの安定性
Dishevelledを介したmicrotubuleの安定性をJNKとGSK3βが制御している。
WNTsignalにはcanonical pathway とnon-canpnical pathway の2つの経路があります。canonical pathwayではGSK3βによるβcateninの分解がシグナルによって阻害され、細胞質内に蓄積して、核内へ移行することによってTCFなどの遺伝子転写が促進されています。non-canpnical pathwayは発生期の細胞極性に関係していることがわかっており、この経路ではJNKが活性化されています。Dishevelledはこの2つの経路のどちらにも関与していることが近年明らかにされています。
この論文ではDishevelledを介したmicrotubuleの安定性がJNKとGSK3βそれぞれ独立した機序によって制御されていることを、主に培養細胞で、DishevelledとDishevelledの部分欠損蛋白、GSK3βを強制発現させ、細胞のmicrotubuleの脱重合を阻害する処理を施して、細胞質も樹状突起にもアセチル化したtubulinがあるものをmicrotubuleの安定化した細胞としてカウント、解析をして証明しています。
Neuroblast の移動には細胞骨格の変化が不可欠で、JNKの上流として知られているRACやRhoなどのsmall GTPaseを介さないDishevelledのJNKの活性化がmicrotubuleの安定性を増すということは新生ニューロンの移動についての解析を行っている私にとっては、興味深い内容でした。
また、重合、脱重合をくりかえしているmicrotubuleの安定性を、脱重合を阻害することで評価を可能にしている手法は学ぶところが多いものでした。