PubMedID |
17506859 |
Journal |
J Neurochem, 2007 Jul;102(1);133-40, |
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Title |
p25/cyclin-dependent kinase 5 promotes the progression of cell death in nucleus of endoplasmic reticulum-stressed neurons. |
Author |
Saito T, Konno T, ..., Ishiguro K, Hisanaga S |
首都大学東京 都市教養学部生命科学コース 神経分子機能研究室 斎藤太郎 2008/04/28
今回、はじめて投稿させていただきます。
自己紹介として私たちの研究室の最近の論文を紹介させて下さい。
私の所属する首都大学東京の研究グループでは、サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)の哺乳動物の脳・神経系における機能について研究を続けています。Cdk5は発生期の脳形成や、シナプス活動などの多様な生理機能への関与が示される一方で、神経変性疾患に関係した神経細胞死での役割が考えられているタンパク質キナーゼです。
私達はタンパク質分解系によるCdk5の活性制御機構に注目してきました。
Cdk5はp35と呼ばれる活性化サブユニットの結合により活性化されます。
私達はこれまでに、1. p35の神経細胞内のタンパク量がプロテアソームによる分解で制御されていること、2. このプロテアソーム分解がp35のリン酸化により制御され、3. 神経活動に依存していることなどを見出してきました。
一方、1. p35がカルパインにより限定分解産物p25に分解されること、2. この限定分解が神経細胞死に関係すること、3. 限定分解もp35のリン酸化により制御されていることを見出してきました。
本論文はこのカルパインによる限定分解が小胞体ストレスによる神経細胞死の過程で見られ、生じたp25/Cdk5が核へ蓄積して神経細胞死を促進する可能性を報告したものです。
私達はプロテアソームとカルパインのバランスが神経細胞の生死に重要であるという意識を持って研究をしています。
首都大学東京 神経分子機能研究室 斎藤太郎