公募研究
神経細胞のALS脆弱性における選択的オートファジーの役割
研究代表者浅川 和秀(Kazuhide Asakawa) |
研究課題の概要と計画
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉の収縮を制御する神経細胞「運動ニューロン」が変性する、という特異的な神経細胞の脆弱性によって特徴付けられる。我々は、熱帯魚ゼブラフィッシュをモデルに用いて、ALS脆弱性が高いとされる大きい運動ニューロンほど、オートファジー流動が亢進しており、細胞内ATPレベルが低い傾向があることを見出した。本研究は、ミトコンドリアが主要な細胞内ATPの供給路であることを考慮に入れ、選択的オートファジーの一つであるマイトファジーによるミトコンドリアの品質管理が、運動ニューロンのATPレベルの維持に果たす役割を検証する。さらに、ALSの主要な病態であるTDP-43の相転移異常が、オートファジー流動や細胞内ATPレベルを低下させることで、ALS病態を加速している可能性を検証する。これらのアプローチにより、選択的オートファジーの多様性を明らかにすると共に、神経細胞のALS脆弱性とオートファジー流動の因果関係を明らかにし、ALSの病態の理解に貢献することを目指す。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Asakawa K, Handa H, Kawakami K. Optogenetic modulation of TDP-43 oligomerization accelerates ALS-related pathologies in the spinal motor neurons. Nat. Commun., 2020, 11:1004.
Asakawa K and Kawakami K. Protocadherin-mediated cell repulsion controls the central topography and efferent projections of the abducens nucleus. Cell Rep., 2018 24:1562-1572.
Asakawa K, Gembu A and Kawakami K. Cellular dissection of the spinal cord motor column by BAC transgenesis and gene trapping in zebrafish. Front. Neural Circuits, 2013, 7:100.
キーワード
ALS, selective vulnerability, motor neuron, autophagic flux, TDP-43, mitophagy, optogenetics, metabolism, ATP, zebrafish