文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 令和元年~5年度(2019年~2023年度) マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解

第2のマクロオートファジーGOMEDの生体での役割

研究代表者

清水 重臣(Shigeomi Shimizu)
東京医科歯科大学・難治疾患研究所 教授
https://www.tmd.ac.jp/mri/pcb/index.html

清水 重臣

研究課題の概要と計画

Golgi-mediated degradation pathway (GOMED)は、ゴルジ体膜を起源とするマクロオートファジーの1種であるが、一般的なマクロオートファジーとは、実行機構や分解基質が異なり、生体での役割は異なっている。本研究では、マルチモードオートファジーの一つであるGOMEDを対象として、①その分子機構解析や生体での役割を明らかにするとともに、②一般的マクロオートファジーとの分解基質の違い、③一般的マクロオートファジーとのクロストーク、④マルチモードオートファジーの中で、GOMEDが選択されるメカニズムを明らかにする。具体的には、①GOMED実行分子を追加同定し、ノックアウトマウス等を用いて、生理機能を明らかにする。②GOMEDの基質分子を遺伝学手法、生化学的手法などを用いて網羅的に同定する。③一般的マクロオートファジーとGOMEDのクロストークを、一般的マクロオートファジー/GOMED関連分子の発現量や翻訳後修飾より明らかにする。④正常マウスから採取した種々の細胞に、刺激を加え、誘導されるオートファジーの種類を定量的に評価する。また、GOMEDが誘導される場合、刺激からGOMEDまでの分子機構を解明し、分解基質を明らかにする。

本研究課題に関連する代表的論文3報

Nishida Y., Arakawa S, Fujitani, Yamaguchi H, Mizuta T, Kanaseki T, Komatsu M, Otsu K, Tsujimoto Y, Shimizu S. Discovery of Atg5/Atg7-independent alternative macroautophagy. Nature, 2009, 461, 654-658.

Yamaguchi H, Arakawa S, Kanaseki T, Miyatsuka T, Fujitani Y, Watada H, Tsujimoto Y, Shimizu S.. Golgi membrane-associated degradation pathway in yeast and mammals. H. Yamaguchi, S. EMBO J., 2016, 35, 1991-2007.

Yamaguchi H, Honda S, Torii S, Shimizu K, Katoh K, Miyake K, Miyake N, Fujikake N, Sakurai H, Arakawa S, Shimizu S. Wipi3 is essential for alternative autophagy and its loss causes neurodegeneration. Nat. Commun., 2020, 11, Article number: 5311.

キーワード

マクロオートファジー、GOMED、ゴルジ体、Ulk1、赤血球分化